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W杯へ予行演習…鎌田大地25歳が「楽しみ」と語るバルサ戦 天才ペドリは19歳だが「欧州で20歳なんて特別に…」〈ELで4得点〉
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2022/04/07 17:03
日本代表3月シリーズこそ未招集だったものの、鎌田大地は屈指の日本人アタッカーとして目が離せない
21-22シーズンのラ・リーガで昨年は4敗していたチームが、今年に入ってからは9勝2分。目下6連勝中で、特に直近の2試合は凄まじかった。
3月20日の敵地でのエル・クラシコで首位のレアル・マドリーに4-0で圧勝すると、先週末のホームでのセビージャ戦では、拮抗した展開の終盤に19歳の天才MFペドリが魅せた。ボックス手前でパスを受けると、寄せてきたイバン・ラキティッチとジエゴ・カルロスを手玉に取り、シャープなミドルで名手ボノの守るゴールを打ち破ったのだ。翌日の『エル・パイス』紙は、「メッシとロナウジーニョを呼び覚ました」と綴った。
「20歳なんて、特別に若いわけではない」
ヨーロッパリーグ・ラウンド16のガラタサライ戦でも見事なゴールを決めているペドリについて、鎌田は名指しすることこそなかったが、自身が20歳で欧州に渡った時を回想する際に、こう語っている。
「ヨーロッパで20歳なんて、特別に若いわけではないので。18、19歳で、大きなクラブの試合に出ている選手もいます」
ペドリを思い浮かべていたかどうかはわからないが、ポジションも近い2人の共演は実に興味深い。
また鎌田は、苦しんだ頃についても打ち明けている。ドイツでの1年目の2017-18シーズン、先発はおろか、ベンチにも入れない日々が続いた。レギュラーのトレーニングにさえ入れてもらえず、練習後にはひとりで森を走るよう命じられたという。
「毎日のように森の中を走っていると、何をしているんだろう、と考えてしまうこともありました。本当に難しい時期でした」
長谷部の助けもあったが「自分で這い上がるしか」
同僚の長谷部は言葉の面で手助けしてくれたというが、「ポジションも違うし、結局は自分で這い上がるしかなかった」と鎌田は言う。そのために、「練習でとにかく点を取ることを意識して」いった。最初は「スピードの違いに苦戦していた」が、「徐々に順応できるようになり、練習でゴールを奪えるようになっていった」という。
翌2018-19シーズンは、ベルギーのシント・トロイデンに期限付きで移り、実戦でコンスタントにネットを揺らした。鎌田がここであらためて得点の感触を掴んだ一方、所属元のフランクフルトはこのシーズン、ヨーロッパリーグでベスト4に進出している。
長谷部が最終ラインや中盤で全試合に出場し、オリンピック・マルセイユやラツィオ、シャフタール・ドネツク、インテル・ミラノ、ベンフィカを下し、準決勝ではチェルシーに善戦しながら、PK戦で惜敗した。