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7年前、大谷翔平に栗山監督が激怒した理由…“開幕前の調整”をめぐって「アイツはバカ野郎なんだよ」「説明する必要はないかな、と」
posted2022/04/08 06:00
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
KYODO
本日4月8日(日本時間)、大谷翔平にとってメジャー5年目のシーズンが始まる。渡米後、初めて任された開幕投手の大役。振り返れば、日本で初めて開幕投手を務めた2015年、知略に長けた日本ハム・栗山英樹監督と、底知れぬ大谷翔平20歳のせめぎ合いがあった――。ベースボールジャーナリストの石田雄太氏の著書『大谷翔平 野球翔年 I 日本編2013-2018』(文藝春秋)の一部を抜粋し、紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)【肩書などすべて当時】
プロ3年目、初の実戦。
大谷翔平は2015年2月9日、名護で行なわれた紅白戦に2番手として登板した。2回、48球を投げて被安打2、失点1。計測できた中には155kmを叩き出したボールもあり、大谷ならではの凄みは感じさせた。しかし総じて言えば抜けたり、引っ掛けたボールが目立つ、暴れ馬の如きピッチング。登板直後の大谷はこう言っていた。
「この時期、いつも思うようなピッチングはしてないですし、理想のところまではいってないんで……今日は、いい球と悪い球がハッキリしていた。今の中で納得できるかと言われればそうじゃないので、自分の中で納得できるボールを増やしていければいいかなと思います」
つまりは、ここまでは順調です、ということで、開幕まで1カ月半、実戦も始まっていないチームがほとんどの中、開幕投手の最有力と目されているピッチャーが調整段階であったとしても何の違和感もない。
ただし、この指揮官を除いては──。
「調整のつもりなら、100年早い」
「オレ一人だけが納得いってないのかもしれないけど……」
大谷のピッチングについて訊かれた栗山英樹監督は、自嘲気味に笑いながらも厳しい口調でこう続けた。
「よかったところはなし。調整のつもりなら、100年早い。今だからいいとか、最初だからいいとか、そんなことはない。何のために1月からブルペンに入って、バッターに投げてきたのか。結果を出すために準備をして、ガムシャラに、必死に、バッターを抑えてやるという、そういう積み重ねを大事にしてくれないと……」