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スーツ規定違反、“涙の失格”…引退もほのめかした高梨沙羅25歳が復活Vで見せた“トップアスリートの底力”「一番嬉しい優勝」

posted2022/04/04 17:00

 
スーツ規定違反、“涙の失格”…引退もほのめかした高梨沙羅25歳が復活Vで見せた“トップアスリートの底力”「一番嬉しい優勝」<Number Web> photograph by KYODO

リレハンメルでの第14戦では強い追い風にも乱れぬ美しい飛行曲線を見せた高梨。優勝を果たし晴れやかな表情

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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KYODO

 失意から立ち上がったことに多くの人が安堵し、復帰初戦での優勝に多くの人が感銘を受けた。北京五輪のスキージャンプでスーツ規定違反による失格となり、涙を流してから約1カ月。高梨沙羅(クラレ)が劇的な復活を遂げた。

 3月2日、ノルウェーで行なわれたノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ女子個人第14戦。2月7日の北京五輪混合団体以来となる公式戦出場を果たした高梨はいきなり優勝を飾った。そして、「五輪の後ということもあり、今までの中で一番嬉しい優勝になった」と笑顔を見せた。

 翌3日の第15戦では4位だったものの、5日の第16戦で3位となって表彰台に返り咲いた。6日の第17戦ではまたしても優勝。2011-'12年シーズンからの10年間に4度のW杯総合優勝を飾り、10年にわたって総合4位以内を保ってきたトップアスリートの底力だった。

「飛び続けようという決断は大正解だった」

 自身3度目の五輪では胸が引き裂かれるような苦しみを味わった。悲願の金メダルを目指して出場した個人ノーマルヒルでは、不安定な風に悩まされて4位にとどまり、「結果は受け入れている。もう私の出る幕ではないのかな」と肩を落とした。

 ところが、それ以上の悲劇が高梨を待ち受けていた。個人戦から中1日で臨んだ混合団体で、1本目を飛び終えた後にスーツ規定違反による失格が判明したのだ。「自分のせいだ」と泣きじゃくった高梨は、気丈にも2本目を飛びきり、日本は4位。その姿は人々の胸を打った。しかし、責任を背負い込んだエースは、混合団体の翌日にSNSで「今後の私の競技に関しては考える必要があります」と引退をほのめかすほど自分を追い込んでいた。

 一方で、スーツ規定に関する競技規則への疑問の声はその後も引きも切らず、高梨の心中をおもんぱかるように見つめる人々は多かった。だからこそ、W杯での復活に世界中から安堵と賞賛の声が上がった。

 3月4日にはW杯混合団体に出場し、悪夢を振り払うジャンプを見せた。高梨自身が「ジャンプの聖地として特別な台だと思っている」と語ってきたオスロでの優勝となった3月6日の第17戦後は「飛び続けようという決断は大正解だった」と言った。誇らしげな姿をもっと見せてほしいと思える復活劇だった。

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