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パンサラッサが呼び起こした超個性派ツインターボの鮮やかな記憶…“劇場型”大逃げ馬がファンを唖然とさせた「伝説のオールカマー」 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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posted2022/03/26 11:02

パンサラッサが呼び起こした超個性派ツインターボの鮮やかな記憶…“劇場型”大逃げ馬がファンを唖然とさせた「伝説のオールカマー」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

1993年のオールカマーで、舌を出しながら第4コーナーを爆走するツインターボ。後続を完全に置き去りにする衝撃的な大逃げだった

 つづくセントライト記念では、ゴール寸前まで勝ったかと思われたが2着に惜敗。それでもダービー2着馬レオダーバン(3着)に先着した。そのレオダーバンが次走の菊花賞を制するわけだが、ツインターボは菊花賞には向かわず、距離適性と小回りでこそ生きる脚質から、次走に福島芝2000mの福島記念を選んで2着となる。

 ゲートが開いたらとにかく逃げるレースぶりも、割り切ったローテーションも、まさに「我が道を行く」という感じだった。同い年のトウカイテイオーや、1歳上のメジロマックイーンといった正統派とはまた違った超個性派として人気を博すようになった。

後続を潰した七夕賞、「1000m通過57秒4」の衝撃

 福島記念につづいて臨んだ有馬記念では「あっと驚くダイユウサク」の14着。

 翌1992年は体調が整わず長期休養に入り、休み明け初戦は「ホームグラウンド」と言うべき福島の芝1800mで11月8日に行われた福島民友カップ。復帰を待っていたファンから1番人気の支持を得るも、しんがりの10着に終わった。

 旧6歳になった1993年、金杯6着、中山記念6着、新潟大賞典8着……と、逃げては差される競馬を繰り返しながら、少しずつ本来の調子を取り戻していく。

 そして7月11日、ツインターボは、逃げのテクニックに定評のある中舘英二を新たな鞍上として迎え、福島芝2000mの七夕賞に出走した。単勝7.8倍の3番人気に支持されたツインターボは、大外16番枠からスムーズに内に切れ込んで「定位置」のハナに立った。1、2コーナーを回りながら徐々に後ろを引き離す大逃げの形に持ち込み、前半1000m通過が57秒4というハイペースで飛ばす。無謀な戦術に見えたのはほんの一瞬で、3、4コーナーを回りながら後続との差をひろげる驚異的な走りに、場内から驚きの声が上がった。4、5馬身の差をつけたまま直線に入り、2着のアイルトンシンボリに4馬身の差をつけ、見事、重賞2勝目をマークした。

 今でもその映像をYouTubeのJRA公式チャンネルなどで見ることができる。そこで聞こえる歓声の大きさや、ときどき映り込む観客の多さに驚かれるだろうが、それもそのはず、この日の入場者数は、福島競馬場の入場人員レコードの4万7391人だったのだ。

 笹倉調教師から「思い切ったレースをしてくれ」と指示を受けていたという中舘は「ぼくはつかまっていただけ」と振り返る。

超大逃げにスタンドが沸いた「伝説のオールカマー」

 ツインターボは、次走のオールカマーでも宣言どおりの大逃げを打った。単勝7.1倍の3番人気。好スタートから正面スタンド前で楽にハナに立ち、向正面では2番手のホワイトストーンに10馬身ほどの差をつけていた。そこから3番手のハシルショウグンまではさらに10馬身ほど離れていた。

【次ページ】 中館との出会いが「ツインターボ劇場」を生んだ

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