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球体とリズムBACK NUMBER
「主力MFがコロナ陽性と負傷」「得点源は結婚式で日本戦後に離脱」 森保ジャパンよりW杯ピンチのオーストラリア…窮余の一策は?
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/03/23 11:01
2021年10月のホーム戦では2-1で日本が勝利した。オーストラリアはW杯ストレートインへ崖っぷちの状態で、どのような策を持って挑んでくるか
「ここ7、8年、彼は常にAリーグで最高のストライカーのひとりだ」と、満を持して招集に踏み切ったアーノルド監督は話した。「2試合で1得点以上(本稿執筆時点でリーグ戦139試合82得点)の優れた決定力を、チームにもたらしてくれるはずだ。そして何よりも、南米のメンタリティーを持ち込んでくれることに期待している。敗北の瞬間まで戦い続ける精神性だ」
スアレス「弟よ、すごく嬉しいよ」
実はこのストライカーは、あのルイス・スアレス、エディンソン・カバーニと、生まれた年と故郷が同じ(3人とも1987年、サルト出身)。特に前者とはナシオナルの下部組織で同じ釜の飯を食べた仲で、親友の豪州代表入りをアトレティコ・マドリーの背番号9も喜んでいる。
「弟よ、すごく嬉しいよ」と、スアレスは7カ月ほど年下のフォルナローリに向けてつぶやいた。「君がオーストラリアと共にW杯に出られることを、心から願っている」
同郷で同年生まれの2人ほど華々しいキャリアを送っているわけではないが、このアタッカーは豪州で真価を発揮するようになった晩成型なのかもしれない。175cmと上背はないものの、ウルグアイ人らしい軸の強さと駆け引きの巧さが目を引く。常にゴールを狙い、コースが見えたら果敢にシュートを放つ姿も、南米のストライカーのそれだ。
「ものすごく重要な機会を与えてもらって、最高にハッピーだ」とフォルナローリは代表初招集後、サッカールーズの公式サイトに語った。「完璧に準備をして、ベストを尽くすよ」
母国ウルグアイと対戦する可能性も
ただしそんな新戦力を迎えても、客観的に見て、アジア最終予選B組の上位戦線で、オーストラリアがもっとも厳しい状況にあるのは間違いない。残り2試合の現時点で、首位サウジアラビアが勝ち点19、日本が同18、オーストラリアは同15。しかも、最後の2試合でその上位勢と対戦するのだ。そのうえ前述したように、中盤の主戦をはじめ、複数のレギュラーを欠くことになる。
日本代表でも、大迫勇也や酒井宏樹、前田大然が招集発表後に離脱しているが、敵地とはいえ、ここで気持ちよく勝ってW杯行きを決めたいところだ(そうでなければ、行く末が不安になる)。
もし本当にそんな結果になれば、オーストラリアはその時点で3位が決定し、アジアA組の3位(UAEが濃厚)とのプレーオフに回り、そこを突破しても南米予選の5位との難関に挑まなければならない。フォルナローリはそこで、母国ウルグアイと対戦する可能性も残している(ウルグアイは現在、南米予選で4位)。