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「日本の教育重視を加味して…」元バルサの名手が母国ブラジルで運営 育成クラブ急成長のヒミツ〈“元U-14日本代表”の18歳も所属〉

posted2022/03/16 06:00

 
「日本の教育重視を加味して…」元バルサの名手が母国ブラジルで運営 育成クラブ急成長のヒミツ〈“元U-14日本代表”の18歳も所属〉<Number Web> photograph by FC Ska Brasil

バルサやブラジル代表などで存在感を発揮したエジミウソン。現在取り組んでいることと日本サッカーへの提言を聞いた

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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FC Ska Brasil

セカンドキャリアには日本だけでなく世界各国のフットボーラーが向き合っている。バルセロナやブラジル代表で頂点を経験したエジミウソンもその1人。サンパウロにある育成クラブの運営や日本サッカーへの提言、同クラブで切磋琢磨する2人の日本人選手に話を聞いた(全2回/#2も)

 そのクラブは、サンパウロの北西44kmに位置するサンタナ・デ・パルナイーバという人口約13万人の地方都市の、そのまた郊外にある。

 人里離れ、周囲にはコンビニもカフェも、スーパーマーケットすらない。車がなければ、市内へ出るのも一苦労。否が応でもフットボールに集中するしかない“虎の穴”のような環境だ。

 約100万平方メートル(もし正方形なら、1km四方!)という広大な敷地に良く手入れされた天然芝のピッチが2面あり、さらに土のグラウンドと天然芝のハーフコートを建設中。巨大な体育館、屋外プール、リハビリ用の屋内プール、スポーツジム、医務室、リハビリルーム、大食堂、アマチュア選手用の寮、プロ選手のためのホテル、娯楽室などを備える。

 この日出会った10代中頃から後半の選手たちは、「生活は快適だよ」、「食事もおいしい」と口を揃えた。

 筆者はブラジルの主要クラブのアカデミーをほぼすべて訪れているが、これほど充実した施設を備えたところは多くない。中小クラブでは、不潔で騒々しいタコ部屋のようなところで寝苦しい夜を過ごし、質量ともに貧弱な食事に悩まされるケースが少なくない。

バルサとセレソンで頂点に立った男と日本の共同出資

 FCスカ・ブラジル。

 サンパウロ、リヨン、バルセロナなどで活躍し、ブラジル代表の一員として2002年ワールドカップ、バルセロナ時代に2005-06シーズンの欧州チャンピオンズリーグを制覇した、かつての名DFエジミウソンと日本のコンサルティング会社が共同で出資し、2019年に創設。U-15、U-17、U-20、U-23の4カテゴリーの約120人が練習に励む。プロ契約した選手はいるが、当面、プロチームは持たない方針という。

 南米、欧州には、選手を育てて他クラブへ売却したり、保有権の一部をキープして将来の売却益を得ることを目指す「選手育成専門クラブ」がある。

 選手は厳しい入団テストによって選抜され、プロの監督、コーチ、フィジカル・トレーナー、ドクター、理学療法士などから指導やサポートを受ける。スカ・ブラジルもその一つで、日本人スタッフもいる。

 2月、クラブを訪問し、施設を見学させてもらった後、代表のエジミウソンに話を聞いた。

【次ページ】 日本人の親友を介して考えを伝えたところ……

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