濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
RIZIN2連敗の平本蓮「黙っていられるタイプじゃない」 朝倉未来に“噛みつき続けてきた男”の露呈した弱点と“真の実力”とは?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byRIZIN FF
posted2022/03/13 17:05
3月6日、MMA転向2戦目となった平本蓮。鈴木千裕と対戦し、判定負けとなった
試合後、平本はそうコメントしている。初っ端にもらったパンチは右ストレート。鈴木はフック系でKOを量産してきた、いわゆる“ブンブン丸”タイプだから意外だったが、実は得意なのだという。平本もそれを警戒していた。試合前からこう言っていたのだ。
「(鈴木の打撃は)大振りに見えてまっすぐ打ったり、意外に力んでなかったりする」
それでも、自分が打ち気になっているところに鋭くガードの隙間を貫かれれば被弾する。あるいは、練習で得た自信に裏切られたということか。
試合前とは“正反対”になった敗北後のコメント
「昔から本番に強いので。試合だからこそ一番強い自分でいける」
「練習通りの自分を出せれば誰にも負けるはずがない」
試合前に語った言葉と、試合後のコメントは正反対だった。
「自分に足りないのは総合格闘技の経験。今年はどんどん試合していきます」
「もっと自分の作戦通りに遂行できたら。この辺は経験だと思うので」
足りないのは経験であり、今年はたくさん試合をする。平本はそう繰り返した。MMAは使える技が多く、だから“今この瞬間”に何をすべきかの選択肢も多い。最適解を見つけ出すためにはキャリアも必要だ。
ある選手は、MMAは他の競技に比べて選手としてのピークが遅いと言っていた。それだけ覚えなければいけないことが多く、経験がものを言うからだ。体力が落ちてもキャリア、経験値で「ごまかせる」部分もあるという。平本はまだ、そんな競技の入り口に立ったばかりだ。デビュー2連敗から這い上がった選手なら、いくらでもいる。
「黙っていられるタイプじゃないので(笑)」
「このまま退けない」も、平本が繰り返した言葉の一つだ。確かに負けた。経験不足をあからさまに露呈しての負けだから言い訳もできない。でも、これで終わりではない。終わるわけにはいかない。
SNSで言いたいことを言ってきた、そのプレッシャーは「ない」と断言。今後も言葉を控えるつもりはないそうだ。
「黙っていられるタイプじゃないので(笑)」