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MLBファンの怒り「腹立たしい」「彼らは自分たちのことばかり…」決まらない開幕日程、春季トレーニングの地で米在住記者が見た現実
posted2022/03/06 11:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
米国東部時間3月1日、午後5時。MLBの新労使協定は合意を見せず、1995年以来、27年ぶりの公式戦中止が決定した。
機構及びオーナー側はロブ・マンフレッドコミッショナーが会見を行った。
「(新たな労使協定締結への)日程を考えれば、レギュラーシーズンの最初の2シリーズは開催することができない。当該試合はキャンセルされる。合意にたどりつかなかったのは双方の責任。有意義な交渉ができなかった。一日も早く合意できるようにしたい」
選手会はトニー・クラーク専務理事、選手会執行役員のマックス・シャーザー(メッツ)らが会見を行った上で声明文も出した。
「ロブ・マンフレッド氏とMLBのオーナーは開幕を取りやめた。野球を愛する世界中の選手やファンは嫌気が差すだろうが、これは驚きではない。この交渉が始まった時から、我々の一貫した目的は、競争の促進、公正な若手選手への補償、我々の健全性を維持すること。(機構が)過去最高益を達成した今、我々が求めているのは、公正な合意以外の何ものでもない」
最後まで出なかった“謝罪”の言葉
ともに一部を紹介したに過ぎないが、両者からは最後までこの言葉は聞かれなかった。
「ファンの皆さん、申し訳ありません」
労使交渉の対立ポイントはいつもお金に関わる問題だ。どんな業種であろうとそれは変わらない。今回、選手会の声明文にもあったように機構とオーナー側は過去最高の収益を上げたことが明らかになっている。選手会が「儲かっているんだから、もっとお金をよこせ」と言っているのはわからないではない。もちろん、未来への投資、権利獲得は双方にとって重要だ。だが、過去最高収益は誰のお金から生まれたものなのか。その意識が双方に感じられない。あれば、ファンへの謝罪の言葉は自然と出てくるはずだ。