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「大谷翔平の打席は約40増える」MLBで導入が決定的となった“ユニバーサルDH”が日本人選手たちに与える影響とは?

posted2022/03/06 06:00

 
「大谷翔平の打席は約40増える」MLBで導入が決定的となった“ユニバーサルDH”が日本人選手たちに与える影響とは?<Number Web> photograph by Getty Images

昨季はナ・リーグのホームゲーム10試合で計11打席にとどまった大谷。新制度により、打席増が期待される1人だ

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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 新労使協定を巡るMLBのオーナー陣と選手会の交渉が難航する一方で、今季からユニバーサルDH(両リーグでのDH採用)が導入されることが、決定的となった。ロブ・マンフレッド・コミッショナーが2月10日、記者会見で明かしたもので、新協定が妥結すればメジャー全試合でDH制度が採用される。

 コロナ禍で同制度が一時採用された2020年以来、導入への議論は活発に交わされてきた。投手の打撃の意外性や投手交代時の「ダブルスイッチ」の妙味を惜しむ声が聞かれる一方、打席や走塁機会をなくすことによる投手の故障リスク減を歓迎する意見もある。また、守備に難点のある強打者の出場機会が増えることもあり、ナ・リーグ全体の得点力増が確実視されている。

 実施されるとなれば、エンゼルス大谷翔平のプレー機会にも影響する。昨季の大谷は「リアル二刀流」でフル稼働したが、DHのない敵地交流戦では、登板しない場合、代打出場が基本だった。今季のエンゼルスは敵地交流戦が計10試合予定されており、その全試合にDHで出場するとすれば、40打席ほど増えることになり、本塁打数が増える可能性も高まる。

 パイレーツ筒香嘉智の場合、主に一塁手や外野手として期待されるだけでなく、DHとしても出場機会が増えると見込まれている。

巨人・原監督の“持論”とは?

 MLBでは1973年、ア・リーグが当時のナ・リーグ人気に対抗する目的でDH制の導入に踏み切った。その結果、打率や本塁打数が増加し、得点力がアップしたこともあり、ア・リーグ全体で約200万人の観客動員増に成功した。その2年後には、NPBでもパ・リーグがDH制を導入し、現在に至っている。

 今回の導入に伴い、NPBのセ・リーグでも論議が再燃する可能性は高い。'19年の日本シリーズ敗退後、巨人原辰徳監督が「レギュラーが9人から10人に増える。少年たちにもいいと思う」と、DH導入へ持論を語った。

 '20年12月には、巨人がセ・リーグ理事会で正式に提案。結果的に他球団の賛同を得られず、見送られたが、パ・リーグとの実力格差が課題とされていることもあり、球界内外で話題を集めた。

 選手だけでなく、ファンにとってどちらがベターか。MLBの今季の結果と反響が注目されそうだ。

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