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“クボが噛み合わない縦関係”に名手も同情? 納得できない久保建英の表情、36歳ダビド・シルバの魔術〈撮影者の視点〉
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/03/06 11:02
鋭い視線で相手ゴールを狙った久保建英だったが……試合後は敵方の名手ダビド・シルバからも声を掛けられていた
一進一退の中、マジョルカが先制点を奪える機会も何度かありましたが、35分、36歳のダビド・シルバが先制点を奪いました。ピッチ中央でマークを背負ったままボールを引き出すような動きもないなとレンズ越しに見つめていると、突如サイドに向かって走り出してボールを引き出すと、メリノとのワンツーでDFラインを突破しそのままシュート。見事な嗅覚と動き出し、それを結果につなげる技術でした。
スコアが動いた直後、久保はムリキとコンタクトを取っていました。
久保に対して飛んだ“中に絞れ”の指示
失点後も久保はドリブルで仕掛けました。ファウルではないかなと思われるシーンもありましたが、ソシエダも突破は許しませんでした。また、このぐらいから強めの雨が降り始め、写真にも雨粒が映り込み始めました。
この試合で気になったのが、マジョルカのカウンター攻撃の際に、久保が取ろうとしたポジションに対して、マフェオが中に絞れと指示を出していた点です。
これは前線の久保が取りたいポジションに対して、サポートのために自身の立ち位置を決めるのではなく、マフェオ自身が取りたいポジションのために久保を動かそうとしていた印象です。2人については、より連携面での強化の必要性を感じました。それぞれ特徴を持った良い選手ですが、噛み合っていないなと……。
久保をおとりとして使うプレーも、またセンターにムリキというターゲットマンがいることで早めに放り込むというのも選択肢ではあるのですが、もったいないなと感じるシーンでした。
後半開始直前、代行監督と話す久保の表情は
1点ビハインドで迎える後半開始直前、代行監督と話しながらピッチに登場した久保は、明らかに何か納得できていない様子でした。
ガラレタの負傷より先発が続くサンチェスは、攻守のつなぎ役として活躍。中盤でパスを散らしてリズムを作ります。さらにアマト・エンディアイエの抜け出しに久保がフリーで走りこみますが、パスがずれてしまいます。またサイドで突破に出ますが、ここも2人掛かりで潰されてしまいました。
なんとか同点に追いつきたいマジョルカに絶好の機会が訪れました。ボックス内でフリーとなった久保の元に、競り合いのボールがこぼれてきました。ボールを見つめダイレクトで狙ったボレーシュートでしたが、蹴り損ねたのか枠を捉えられません。この好機を逸して頭を抱え込んでしまいました。