濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
CA内定も蹴って芸能界、そしてリングへ…“フェリス卒レスラー”桜井まいがスターダムで闘う理由とは? “突然の裏切り”の真相も語った
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/03/04 17:02
コズミックエンジェルズからDDMへの移籍でも話題の桜井まい。袂を分かつことになった月山和香とも激しくやり合う
桜井と月山は仲間でありライバル。誰もがそう思っていた
団体をやめ、次の舞台を考えた。やはり業界トップのスターダムがベストだった。中野たむ、なつぽい、ひめかとアクトレスガールズ出身の先輩がいるのも大きかった。
「スターダムの選手は輝いて見えました。みんな個性が強いし“これで生きていく”という覚悟を全員から感じます」
昨年8月から参戦。「査定してやる」と対戦を名乗り出たウナギ・サヤカと闘った。いきなり新人王座フューチャー・オブ・スターダムのタイトルマッチ。完敗を喫したが、その場でウナギ、中野たむ、白川未奈のコズミック・エンジェルズ(コズエン)に加入する。
コズエンのメンバーも芸能界出身者ばかり。アクトレスガールズで一緒だった月山和香も後に加わった。団体内で写真集の売り上げトップ、なおかつ華やかさの裏に泥くささがあるユニットだ。
スターダム初勝利の相手は月山だった。9月の大田区総合体育館大会。得意のダイビング・エルボードロップから強引に抑え込む。カウント2で返されても2度、3度。「コイツしつこいな」と思いながら抑え込んだ。執念だけでもぎ取った勝利だ。
「相手の心を折れば勝てる。自分の心は折れちゃいけない。前の団体で先輩の高瀬みゆきさんから教わりました」
桜井と月山は、同じユニットの仲間でありライバル。誰もがそう思っていた。なかなか大きな結果は出せなかったが、コズエンの環境が桜井には合っているように見えた。
DDMへの移籍…「ダンスの練習なんてしたくない」も話題に
だが、2月にDDMへ。コズエンの華やかさに惹かれた桜井だが、もともと参戦表明の際に「強さを求めて」スターダムに来たと語っていた。憧れの選手はDDMを作ったジュリア。初対戦の後、憧れていることは「もう言うな」とジュリア本人から声をかけられた。誰かに憧れても追い越せないし、今は敵なんだという意味だろう。
ただ、そのジュリアからDDMに誘われた時、やはり心が動いた。コズエンを離れる際の「ダンスの練習なんてしたくない」という言葉も話題になった。
コズエンはチームとして試合に臨む際、入場時にダンスを披露する。“出番前”には振り付けの確認も。力のある先輩たちはそれができるが、桜井は試合のことで頭がいっぱいで、ダンスのことを考える余裕がなかった。
「ダンスすると分かってコズエンに来たんだろと言うファンの方もいるんですけど、私が加入した時点ではダンスはやってなかったんですよね。やりたい人がダンスをするのはいいと思うんですけど、今の私の実力ではまず強くなること、試合に集中することが先だと思ったんです」