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人類初の2時間切りまで“あと99秒”…キプチョゲが語る“F1化するマラソン”「それでも速く走るのはシューズではなくてランナーです」
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/03/05 17:00
3年ぶりに開催される東京マラソンに出場する世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ
マラソンを走るために最も必要な要素とは?
「継続的にトレーニングをすること。情熱を持つこと。そして、しっかりとした自己管理をして、シンプルな生活を送ることです。もしレースで成功したければ、毎日の練習の中でも成功するという信念を持たなくてはいけません」
レースのときもよく笑顔を見せるが、苦しくはないのだろうか?
「マラソンは人生と同じです。ハッピーになりたければ、人生を楽しまなくてはいけない。だから、私は笑顔で走ることを楽しむのです。それでも、レース中にはいろんな問題が起こるし、あらゆるところに痛みを感じます。ただ、それは永遠に続くものではありません。必ず終わりがあります。だから、私はそれを受け入れるのです。痛みを乗り越えるのも挑戦のひとつです」
すべてを手にしても、なお走り続けるモチベーションとは?
「簡単です。私はこの競技が好きだからやめられないのです。走ることは私の人生そのものです。走ることで世界にいろんなインスピレーシヨンを与えていきたいと思っています」
「人類が2時間切りの夢を叶えるのはいつですか?」
話を聞いていると、競技者である前に、素朴に走ることを愛している人だということが伝わってくる。最後に「人類が2時間切りの夢を叶えるのはいつ頃になると思うか」とたずねると、「まもなくだと思います」という答えが返ってきた。「それを達成するのはあなたですね?」「Maybe.」
次なる壁を突破したとき、哲人はいったいどんな言葉を語るのだろうか?