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あの平野歩夢2本目採点、取材記者がいま明かす「スイス関係者、中国観客もブーイング」 海外記者の質問に、平野が最後に語った「ショーンから学んだこと」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2022/02/28 18:20
スノーボード男子ハーフパイプ。金メダルの平野歩夢(23歳)をショーン・ホワイト(35歳)が祝う
「僕もスケートボードをやってきたので、彼のスケボーへの挑戦もすごく身近に感じる部分がある」
平野は二刀流スタイルへのシンパシーを口にしつつ、トップアイコンとしての孤独や苦悩をホワイトに重ねるようなコメントも口にした。
「平昌五輪やその前の歴史も含めて、彼はずっとヒーローだったと思うのですが、そういうことを経験している人たちは、孤独だったり、自分との戦いというものを強く思っているのだなということは、ショーンから学んだことの一つでもある。東京五輪では僕もやっと(の思いで)気持ちを保ってチャレンジしていたのだが、10歳以上離れた年の選手がそういう難しいところにチャレンジしていた。それは彼にしかできないことだと思う。全てを含めて、やっぱり彼は強いのかなと思っています」
15歳で出たソチ五輪、19歳で出た平昌五輪と合わせ、ホワイトとは五輪3大会で競った。同じ舞台でともに戦って感じてきたのは、「彼は守る側というよりはチャレンジャー側にいる人」ということ。
「彼は自分とのチャレンジに向き合い続けて、今日、この舞台に立っていた。戦いながらも“今日”という日を楽しんだのではないかなと思っている。そして、結果とは別に彼にしかできないチャレンジを見せてくれたのではないかと思っている。彼は今回出ている選手の中でも最年長。この場に姿を現し、彼にしかわからない気持ちの中で、彼にしかできない今のベストパフォーマンスを見せてくれたことは、皆にとって大きなメッセージになったのではないかと思う」
幼い頃、憧れを抱いていたホワイトと一緒に立った舞台で「ちっちゃい頃からの夢」をかなえた平野は、「僕からも自分の滑りで何か伝えられたらな、と思っていた」と誇らしげでもあった。五輪の舞台で2人が残してきた足跡は、この後、何十年先の未来へとつながっていくはずだ。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。
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