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あの平野歩夢2本目採点、取材記者がいま明かす「スイス関係者、中国観客もブーイング」 海外記者の質問に、平野が最後に語った「ショーンから学んだこと」

posted2022/02/28 18:20

 
あの平野歩夢2本目採点、取材記者がいま明かす「スイス関係者、中国観客もブーイング」 海外記者の質問に、平野が最後に語った「ショーンから学んだこと」<Number Web> photograph by AFLO

スノーボード男子ハーフパイプ。金メダルの平野歩夢(23歳)をショーン・ホワイト(35歳)が祝う

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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 冬季五輪で日本勢が過去最多の18個のメダルを獲得し閉幕した北京五輪。発売中のNumber1046号「完全保存版 北京五輪熱戦譜」特集では、日本代表選手たちが17日間にわたって繰り広げた、涙と歓喜の戦いを徹底詳報しています。そのなかからスノーボード男子ハーフパイプで金メダルに輝いた平野歩夢の、本誌では紹介しきれなかったエピソードを紹介します。

 北京五輪で平野歩夢(TOKIOインカラミ)が金メダルに輝いてから約2週間。かなりの時間が経過しているのに、今なお途中経過を思い出すと胸がざわつき、最終結果を反芻しては胸をなで下ろす。

 2月11日にあったスノーボード男子ハーフパイプ決勝。平野による2本目のランは、五輪史上初の「トリプルコーク1440」を含む史上最高難度のルーティンを完遂しながら、その時点で全体の2位にとどまる点だったことで、世界の多くの人が疑問を抱く採点となった。米NBCで解説を務めたレジェンドボーダーのトッド・リチャーズ氏が「ありえない!ジャッジへの信頼が吹き飛んだ。これは茶番だ」と憤ったことも話題になった。

 筆者も現地にいたが、平野の2本目の採点結果がスコッティ・ジェームス(オーストラリア)を下回った時、会場ではあちらこちらからブーイングが聞こえた。報道用エリアのすぐ近くにいたスイスチームの選手や関係者は特に反応が大きかった。中国の招待客が座っていた観客席からもブーイングが聞こえた。平野がラストの3本目に有無を言わせぬパフォーマンスを見せて逆転優勝を飾ってくれたことが、どれだけ多くの種類の喪失を防いだか。

 採点についての物議や、トリプルコークという最高難度技の成功、最後の大逆転など、多くのトピックスが満載だったあの大舞台で、もうひとつ、深く胸に刻んでおきたいことがある。

 五輪3大会金メダリストのショーン・ホワイト(アメリカ)から平野への王位継承のドラマである。

この男なら何かを起こすかもしれない

 決勝2日前の2月9日に行われた予選は、25選手が2本ずつ滑り、ベストスコアの上位12選手が決勝へ進む方式だった。5度目の五輪出場であり、今大会限りでの引退を表明していたホワイトは、手堅くいったはずの1本目の4ヒット目に入れた得意の「ダブルマックツイスト1260」でまさかの転倒をしてしまった。1本目の順位は19位。米国を中心とする各国メディアに緊張感が走った。

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