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《祝41歳》松坂世代93人→最後の1人に…ホークス和田毅が“勝負の20年目”を前に思うこと「トシもトシなので(笑)」「変化球の種類も増やしたい」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2022/02/21 06:00
今季20年目を迎える和田毅(41歳)。松坂世代最後の現役が語った20年目の覚悟とは(写真は2017年)
それからブルペンでは徐々に球数を増やして迎えた、2月10日、この日の和田の投球練習はなかなか終わらなかった。同時に投げ始めた石川柊太が引き揚げた後は一人っきりで左腕を振り続け、途中から横に来た17学年も下の高橋純平のほうが先に投げ終えてロッカーへ戻っていくほどだった。
結局、和田は141球を投げた。
「でも、トシもトシなので(笑)」
練習後にインタビュールームへやって来た和田は、やはり明るく、あっけらかんとした表情でこう話し始めた。
「元々はそんなに沢山投げるつもりはなかったんですけどね。良い感じならば60~70球程度でやめようと思ったんです。だけど、感じが良くなかったのでプレートの立ち位置を移動したり、ああだこうだと考えながら投げていたら、気付いたときには100球を超えていた。ならば、このまま100球を超えてどんな具合で投げられるかをやっておこうと切り替えて、その球数になりました」
ある程度やりたいことが固まったから、その球数で終えたという。疲労感は? との問いかけに「全然問題なく、大丈夫です。あのまま150球でも200球でも行けたと思います」と言いきり、「でも、トシもトシなので(笑)。1クールに2回だから次は3日後にブルペンに入るんで、投げすぎるとよくないのでこれくらいにしておきました」とはにかんだ顔をした。
調べてみると昨年のキャンプ最多投球数は123球だった。やはり状態が良いのだろう。
41歳が求める“新球種”「ずっと練習しているけど…」
そして、インタビューの中で、和田本人は何気ない感じでこんな言葉を口にした。それはプレートの立ち位置について質問が飛んだときだった。
「昨年と違う場所で投げました、三塁側に立って。試したのはボールの見え方や曲がり方。昨年の反省で、思うところもあるので、今は変えながらやっています。変化球の種類も増やしたいと思っているので、その意味でもプレートの位置を変えてみようかと」
変化球の種類を増やす――。
そこに思わず反応してしまった。プロ20年目の大ベテランが、日米通算148勝を誇るサウスポーが、なお“進化”を求めている。
色めき立つ報道陣。その空気を察した和田は照れた笑顔で言葉を継いだ。