だから、新しい球種には昨年のキャンプでも挑戦していた。16学年も後輩の笠谷俊介にカーブを教わり練習を続け、「それがある程度投げられるようになった」と頷く。

「去年はカーブで色々勉強できたので、今年はカットボールですね」

　その探究心には頭が下がる思いだ、とそのように伝えると和田はこう話した。

「逆に、トシを取ったからだと思います。今までは通用したことがそうじゃなくなる。昨年もそうやってやられることが沢山ありましたし、このボールが投げられれば幅が広がるのにと考えながら、それが出来ない歯がゆさを感じてやっている時期もありました。自分の肥やしになるのなら、何でも覚えたい。変化することは大事なんです。ダメならば元に戻せばいいし、変化を恐れてはいけないと思う。今の取り組みもシーズン中にはできませんから。時間を有効に使いたいですね」

　和田が、とてつもない高レベルでしのぎを削った「松坂世代」の中で、最後の1人になるまで現役選手でいられる真髄がそこにあるのだろう。

前進し続ける41歳。いざ20年目シーズンへ

　そんな話を交わした5日後の今月15日、和田のブルペンを見に行くとプレートの立ち位置が一塁側に戻っていた。その場所から何球もカットボールを投げていた。「外、カット！」と捕手に伝えると、和田の投げたボールは右打者のボールゾーンからキュッと内側へ曲がる軌道を描いた。

「あれから色々やってみて、また一塁側に心変わりしているんですよね」

　和田はそう言って笑っていた。後ろ向きな決断ではない。これもまた前進なのだ。

「毎年、毎年ですが、僕は勝負だと思っています。今年できなかったら辞めないといけない。肩痛から復帰した19年から、毎年そういう気持ちでやっています。今年もそこは変わらない。昨年は優勝も日本一も逃して４位でした。自分もその責任のある１人です。深く反省しています。しっかりとチーム全体で払しょくできるように。昨年より強いホークスを見せたいし、僕自身も昨年のような姿ではダメという覚悟はあります」

　変化を恐れない41歳は、プロ20年目をどう走り抜くのだろうか。

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