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海外記者が殺到、ざわつく会場…「見ていて辛かったです」“対照的すぎた”ワリエワの悲劇と坂本花織の銅メダル〈現地レポート〉
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2022/02/18 17:55
連日ドーピング問題に揺れた北京五輪の女子フィギュア。17日、FSが行われ渦中のワリエワは4位、坂本花織は3位で日本人女子4人目のメダリストとなった
それでも、「練習120%、試合100%」をモットーに、これまで培ってきた地力は崩れなかった。
ショートに続きノーミス、3位で表彰台に上がった。
取材エリアを訪れたときは、指3本で、3位を表現。これまでの努力を知るからこそ、取材陣からは大きな拍手で迎えられた。
メダルセレモニーは18日に行なわれる。
「団体戦ももらえていないので、もらえて、正直うれしいです」
穏やかな笑顔で答えた。ただ、ワリエワについて問われると表情は打って変わって切なそうだった。
「見ていて辛かったです」
樋口も坂本を祝福「ほんとうに強いなと思いました」
ショート、フリーともにトリプルアクセルを成功させ、5位入賞を果たした樋口新葉は坂本の銅メダルに触れつつ、語った。
「自分の演技を振り返って、ミスがあったので悔しい気持ちもありましたけど、ずっと戦ってきて一緒にこの期間を過ごして、引っ張ってもらえた存在でした。団体戦のときはいちばん良い演技ができていたし、ショートもフリーもシーズンベスト。ほんとうに強いなと思いました。自分も超えたいと思えたので、4年後(のオリンピックで)、また滑りたいと思います」
坂本同様、樋口も自分のスケートをどうしたいか、自分はどうありたいかを考え、突き詰めて、大舞台に立つことができた。
思いもよらない出来事に揺れた女子シングルではあっても、だからこそ、そこでの経験を生かし先へ進もうとする樋口そして坂本の表情が強い印象を残した。
大会の中での、光でもあった。
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