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海外記者が殺到、ざわつく会場…「見ていて辛かったです」“対照的すぎた”ワリエワの悲劇と坂本花織の銅メダル〈現地レポート〉
posted2022/02/18 17:55
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
怒り、索漠、歓喜……さまさまな感情が渦巻いた。2月17日にフリーが行なわれ、フィギュアスケート女子は、そうした空気のもとにあった。
カミラ・ワリエワがドーピング違反により、その出場の可否、ワリエワが出場した団体戦のメダルの取り扱いなど、さまざまな波紋が生じていた。
会場は騒然…フィギュアを知らない海外記者も来場
15日のショートプログラムでは男子のときを大きく上回るメディアが詰めかけ、その光景は17日も変わらなかった。
「フィギュアスケートはまったく知らないのですが……」と試合の形式などについて質問してくる海外の記者に、戸惑う知り合いの記者もいた。フィギュアスケートそのものではなく、社会事件の1つとして訪れた記者は少なくなかったのだ。
本来であれば一般客は入れず空席が多い場内も、異様に熱気が高かった。出場していない選手、関係者、メディアをはじめ、その数は少なくない。声を出しての応援はやめるよう要請が出されていたが、ロシアの選手たちが登場すると、声援があちこちから響く。なかでもワリエワが登場すれば、席を立つ海外の選手たちも見られた。世界選手権のようにほとんどがフィギュアスケートファンである大会とオリンピックとでは、雰囲気が異なるのはいつものことだが、演技中でも立ち歩く人がいるなど、終始ざわついた感があるのは否めなかった。
「冬季オリンピックの華」とも称される人気競技の会場は、従来の姿と大きく異なっていた。
「出場認定」はワリエワを“保護”したのか?
その渦中のワリエワは、ショートプログラム1位で最終滑走。曲がスタートすると、思いもよらない光景が氷上に広がった。