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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
トゥルソワ17歳「2度と氷の上に立たない!」 なぜロシアの最強エテリチームに亀裂が入った? 選手が“移籍→復帰”を繰り返した歴史
posted2022/02/18 17:05
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
JIJI PRESS
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金メダルのご褒美が「アイスクリームひとつ」だけ
2018年平昌オリンピックでは、女子が終了した数日後にメインプレスセンターでロシアの連盟が改めてエフゲニア・メドベデワとアリーナ・ザギトワの会見を行った。
その時にザギトワがどうやって金メダルのお祝いをしたのかと聞かれ、「アイスクリームを食べました。でもひとつだけです」と答えると、メドベデワが「ちょっと待って。私はそれ聞いてない」と応対した。会場は温かい笑いに包まれた。
筆者はあの時、まだ若い彼女たちのちょっとしたご愛嬌のジョークくらいに思っていた。だが大会中水も飲ませてもらえなかったのなら、アイスクリームのご褒美は記者会見で口にするほどの大事件だったことも頷ける。
その後メドベデワはカナダのブライアン・オーサーコーチのもとに移り、初めてプロの栄養士のアドバイスを受けるようになったというが、それまでは体重の増減が激しく、食べ物との健全な関係を築くことが難しかったのだという。
ザギトワはオリンピックで優勝してから1シーズンだけ滑り、競技を引退。その理由の一つとして下の世代と競っていくには、体重を3キロ落とさないとジャンプが跳べないからと告白している。
「生徒を使い捨てにするロボット工場」の批判も
こうしたエテリチームの生徒たちの不健全ともいえる実情は、これまでも各方面から伝えられてきた。生徒を使い捨てにするロボット工場、という批判の声もあった。
だが次々とチャンピオンを育てていくには、ある程度仕方のないこと、と関係者の誰もが受け止めていたのだろう。何よりコーチとして彼女が残してきた実績は、誰にも否定できないものだったからだ。
パンデミック直前の、2019/2020年シーズンは、トゥトベリーゼの「3人娘」、アリョーナ・コストルナヤ、アンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トゥルソワの3人がジュニアから上がってきた。それぞれ出場したGP大会2試合で優勝し、GPファイナル、欧州選手権の表彰台を独占した。
このままのメンバーで北京オリンピックまで行くのか、と思われた。だが思わぬ展開が待っていた。