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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
号泣するワリエワ15歳に「理由を言いなさい!」と激怒…ロシアのコーチ・エテリの正体とは?「極度のマスコミ嫌いで謎が多い」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byJMPA
posted2022/02/18 17:04
フリーではまさかのミスを連発し、総合4位となったワリエワ。演技後にエテリは彼女を糾弾した
泣き崩れたワリエワに「なぜ? 理由を言いなさい」
過去10日間、ドーピング違反の報道でロシアを除く世界中の批判にさらされていたカミラ・ワリエワは、フリーでは2度転倒した他、ステップアウトなどミスも出て崩壊に近い演技だった。泣き崩れたワリエワに、トゥトベリーゼは情け容赦なく、「なぜ途中で諦めたの? 理由を言いなさい」とロシア語で問い詰めた。
CAS(スポーツ仲裁裁判所)は未成年であることなどを理由にワリエワに出場許可を与えたものの、15歳の心はプレッシャーに耐え切れなかったのだろう。このような状況になるのなら、潔く棄権した方が本人のためにも良かったのかもしれない。総合4位という結果が出ると、アシスタントコーチのダニル・グレイヘンガウスは納得したかのように小さく何度か頷くも、トゥトベリーゼは不満そうに片手を宙に上げた。
IOCはワリエワが3位以内に入ったら、マスコット贈呈式も表彰式も行わない、と宣言していた。正直に言えば、こうして彼女が表彰台からもれたことで、胸をなでおろした関係者も多かったのではないか。ありがたくない理由で世界中の目が集中していた女子フィギュアスケートに、ようやくノーマルさが戻った贈呈式だった。
ワリエワはこの北京では演技をすることを許されたが、ドーピング検査が陽性になった件に関する捜査はまだこれからだ。WADA(世界アンチ・ドーピング機構)は今後ワリエワのコーチ陣、チームドクターなどを調査していくと発表し、最終的結論が出るまでに数カ月はかかると見込まれている。
エテリ・トゥトベリーゼとは何者なのか?
それにしてもワリエワのドーピング陽性に加えて、世界中に放映されたトゥルソワの癇癪に、エテリ・トゥトベリーゼとそのチームの株は急降下する一方である。
そもそもこのトゥトベリーゼという人は、どのような経歴を持っているのか。
トゥトベリーゼはモスクワ生まれで、元アイスダンサーとして短期間だがタチアナ・タラソワの指導を受けたこともある。競技引退後、アイスショーの団員として渡米し、6年間オクラホマシティ、シンシナティ、ロサンジェルスなどに住んでいた。娘でアイスダンサーのダイアナ・デイビスは、ラスベガスで誕生したという。