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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「金メダル獲れなくてすみません」五輪銀メダリストが語る日本人アスリートが謝罪する理由「恩返しがしたかったんだろうなって」
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2022/02/18 17:00
女子モーグルで5位入賞を果たした川村あんり(17歳)。競技後は「メダル取れなくて申し訳ない」とコメントを残した
梶原 そうですね、気にしないことがいちばんだと思いますが……。私も五輪前の19年にSNSで見えない相手からバッシングを受けて、辛い思いをしたことがありました。そのとき、他人から否定されることがものすごく辛かったです。そういうことがずっと続くと自己否定につながってしまうし、自分に自信が持てなくなってしまって、自分の存在価値を疑い始めてしまう。
その時に支えになったのが母の存在と、読書でした。本を読むことが好きなので、本の中に共感できる言葉や、新たな発見を見つけて、自分の信念を築くことができました。それでも本当につらいときはSNSを見ないようにするのがいいと思います。北京五輪に出場している小平奈緒選手も、開幕の日に「これからすべての情報から距離をとります」と発表していましたよね。そうやって距離を置くのも一つの手段。自分で戦う環境を整えていくことが大事だなと思います。
――少し話が飛躍しますが、女性アスリートは結婚、妊娠、出産、育児など多くの問題もあります。卵子凍結を公表した竹内智香選手(女子スノーボード)のような考えも尊重されるようになってきました。
梶原 そうですね。私も今は競技が第一優先なので……。選手も個性を持った一人の人間。それぞれが色々な考え方をもっていいのかなと思います。私も卵子を凍結するという考えに非常に興味を持っているので情報を収集しています。ほかにも、生理の問題とか、女性ならではの体の問題とか、たくさんあるのですが、情報をたくさん収集して、友人や家族に相談しながら、自分の考えで選択をしていくことが大切だと思います。今回の竹内選手のように、勇気をもって情報を発信してくれる選手はすごくありがたいですし、敬意を表します。私も自分の意思を発信できるようなアスリートになりたいと思います。
「パリでは絶対金メダルを獲りたい」
――梶原選手が目指している24年パリ五輪は、27歳で迎えます。この年齢は自転車競技ではどのような年齢になってくるのでしょうか?
梶原 自転車競技は選手生命が長いと言われていて、30代後半でも世界で戦っている選手もいます。27歳は経験も戦術も技術も身についていちばんいい歳だと思っています。
――スポンサー集めなど、苦労も多いと思います。
梶原 はい。自転車競技は日本ではまだまだマイナーなスポーツで、ルールも複雑だと思います。でも東京五輪でオムニアムという競技を見てもらえて「初めて見たけどすごくおもしろかった」という感想を多くいただけたので、競技の奥深さを研究して、より多くの人にわかりやすく発信していけたらと思います。その結果、応援していただける方がいるなら……と。パリでは絶対に金メダルを獲りたいので、まずはスイスで頑張ります!(つづく)
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