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「翔平には“無制限”が必要だった」“二刀流”を信じ続けたエンゼルス指揮官が明かした「大谷翔平との対話」《単独インタビュー》 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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photograph byGetty Images

posted2022/03/14 11:01

「翔平には“無制限”が必要だった」“二刀流”を信じ続けたエンゼルス指揮官が明かした「大谷翔平との対話」《単独インタビュー》<Number Web> photograph by Getty Images

大谷翔平の二刀流での挑戦を支え続けたエンゼルスの知将、ジョー・マドンが明かす“対話”の真実

「レブロンやジョーダンに監視役は置かないだろ?」

「私は、“最初”というのが好きなのかもしれない。誰かが、それはできないよ、と言うことに奮い立たされる。カブスの監督だった時、翔平と面談をしたことがある。彼の対面に座って、それまでに見たことがなかった彼のプレー映像を見て、非常に感激したことを覚えている。そして、昨年から共に戦うチャンスを得た。彼は投手として、打者としてプレーするためにアメリカに来た。我々もそれに対して敬意を払うべきなんだ。昨年、初めて一緒に戦い、私にとっては学ぶ機会となった。聞いて、見て、聞いて、見て、の連続だったよ。彼は素晴らしいアスリートで、だからこそ彼の邪魔をしてはいけない。アルベルト・アインシュタインを監視したり、アスリートで言えば、レブロン・ジェームズやマイケル・ジョーダンを監視するような人を置かないだろう。彼らは制限される必要なんてない、自由が必要なんだ。そして彼らは自分に何が必要か分かっている。最初の段階では修正が必要なこともあったかもしれないが、プレーしてみない限りは分からない。繰り返すが全ては制限の問題。他人より私の方が私をわかっている。それは翔平についても同じだ。彼はこの地に目的と理由があってやってきた。飛び立つ機会が必要だった。それが今、彼がやっていることなんだ」

指揮官が選んだ「マイ・ベスト・ショータイム」は?

 指揮官は今季の「マイ・ベスト・ショータイム」として、4月4日の本拠地でのホワイトソックス戦を挙げた。チームとして今季4試合目、大谷の今季初登板はメジャーリーグとして118年ぶりの快挙となった「2番・投手」での投打同時出場。大谷はその試合で100マイル(約161km)超えの投球を連発し、第1打席では右中間スタンド中段へ、飛距離451フィート(約138m)の特大本塁打をかっ飛ばした。まさにSpectacularだった。

「どの試合もとても印象に残っているが、私にとっては初登板のホワイトソックス戦だね。あの試合の活躍で、二刀流ができるのか否かに疑問をもっていた人すべてに回答した。時速100マイルを超える球を投げ、公式戦であれだけ遠くへ強い打球を飛ばすところを見せたんだ。懐疑的だった周囲のみんなを、彼はあのスイングで黙らせた。もう誰も何も言わなくなり、みんなが彼はできるんだと信じた。その後に見せたすべてのプレーは、あのスイングによって定められたんだ。もし、あなたたちが何かにトライしようとしているなら、忘れないで欲しい。あれは新しいことだったんだ。あの瞬間、両方やってみせることは新しいことだった」

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ジョー・マドン
大谷翔平
ロサンゼルス・エンゼルス

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