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「ナオこそ『チャレッソ』よ」10代からの仲、結婚式にも…17位小平奈緒に“解説者”李相花が涙した理由
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byJMPA
posted2022/02/14 17:05
北京五輪Sスケート女子500mでは17位に終わった小平奈緒。放送席で盟友・李相花も涙(写真は平昌五輪)
平昌五輪の激闘から4年。今度は小平が前回の李さんのような立場で北京五輪を迎えることになった。
暗闇を抜け、手にした五輪切符
2シーズンにわたってW杯と世界選手権で無敗ロードを突き進んでいた4年前と違い、今回は苦しみ抜いてつかんだ連覇への挑戦権だった。平昌五輪後は左股関節の違和感に悩まされ、2020ー2021シーズンはとうとう5年ぶりに国内で500mの優勝を逃すなど、まさかの低迷を見せた。
北京五輪を翌シーズンにひかえたタイミングで直面した暗闇。しかし、小平は屈しなかった。起死回生を図って選んだのは、シーズン途中であるにもかかわらず陸上トレーニングに専念し、体を一から作り直すことだった。賭けとも言える選択だったが、これが功を奏し、今季は、W杯で1年9カ月ぶりの優勝を飾るなど、復活ののろしを上げた。W杯前半戦で表彰台に上がった回数は6回。年明け以降はさらに調子を上げていた。
「北京五輪ではこれまで積み上げてきた技術、メンタリティーをすべて氷の上で表現したい。生き様を見てほしい」と語る姿は力強かった。
小平が平昌で出した”OR”のスゴさ
連覇はならなかったが、4年前の平昌五輪で頂点に立った時の小平のタイム「36秒94」は、女子の低地リンクの記録として初の36秒台であり、五輪記録として今回も残ることになった。
北京五輪を制したエリン・ジャクソン(米国)のタイムは37秒04。今回の北京五輪のスピードスケート競技では12日までの男女全7種目で世界記録1つ、五輪記録6つが誕生していたが、この日の女子500mだけは記録が更新されなかった。小平の平昌五輪のタイムはそれほどレベルの高いものなのだ。
李さんが小平の前に姿を現さなかったのは、競技者として高みに挑み続けている親友と直接会うのは、全レースが終わった後だと考えたのかもしれない。前回の平昌五輪では1000mで銀メダルを獲った後に500mがあったが、今回は日程が変わり、500mが先で1000mが後。1000mのレースは17日に行われる。
「自分自身、こんなに自分自身にガッカリした500mは後にも先にもない。1000mは、あとはもう、覚悟をもってやり遂げるだけです」
北京五輪でのラストランとなる1000mで小平はどのような生き様を見せてくれるだろう。一挙手一投足に目を凝らして見つめたい。
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