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「おい、中途半端やぞ!」球場に響く“熱男”の声…昨季4位ソフトバンクは本当に変われるのか?《藤本監督&松田が若手に苦言》
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2022/02/14 11:01
松田宣浩内野手や柳田悠岐外野手らが合流したホークスキャンプ。やはり“熱男”こと松田の存在は大きかった
現在のホークスが過渡期の真っただ中なのは既知の事実だ。キャンプイン前も藤本監督が「コロナの影響で主力不在のスタートになるけど、プラスに捉えることもできる。今まであまり見られなかった選手を首脳陣がしっかり見ることが出来るからね」と話していたように、次代を担う若手にとって、キャンプ序盤はこれ以上ないアピールチャンスだったはずだ。
練習を眺めていて、元気印不在の中でも活気がないことはなかった。間違いなく声は出ていた。しかし、ふたを開けてみれば松田が合流しただけでこの変わりようだ。確かにふと思い返すと、松田のように客席のどこからグラウンドを見ても輝きを放つような選手は正直見当たらなかった。
特に、どれだけアピールをしてくれるのかと筆者が個人的に楽しみだったのが、2年目内野手の井上朋也だった。松田と同じ右打ちの三塁手で、花咲徳栄高校からドラフト1位で入団した有望株である。
王球団会長も期待を寄せる“2年目内野手”
ルーキーイヤーは一軍出場なしだったが、育成力に定評のあるホークスでじっくり鍛え上げられ、二・三軍の試合にもしっかり出場して多くの経験も積んだ。二軍公式戦の成績は45試合、打率.246、3本塁打、11打点。主に三軍戦主体の非公式戦は70試合、打率.256、8本塁打、41打点だった。
度肝を抜くような数字ではなかったが、高卒1年目にしてはまずまず。一定以上の長打力があることも示した。なにより大きな怪我をすることなく、シーズンをフルで戦い抜いたことを評価する声がチーム内では高かった。
そんな非凡な才能に、今、誰よりも熱視線を送っているのが王貞治球団会長だ。昨年の秋季キャンプ以来、付きっきりで指導を行うシーンをたびたび目撃している。
王会長直伝の特訓の中には、目の前にネットを置いて素振りをして、そのままバットを放り投げるという練習があった。