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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
《独占》日本アイスダンスの先駆者、キャシー・リードが今明かす“急逝した愛弟”クリスさんへの思い「彼はスケートを愛していました」
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2022/02/11 17:01
2014年の世界選手権で演技を行うキャシー・リード&クリス・リード組
だが7度目の全日本選手権タイトルを獲得し、派遣が決まった四大陸選手権の前にクリスの膝の怪我が悪化したのだという。
「四大陸の前の練習ではすごく調子が良く、気持ちも上がってきていました。でも大会の3日前にクリスの膝が悪化して……すごく楽しみにしていたので、精神的にショックを受けました。あれほど落ち込んだことはなく、トレーニングを続けていくのが難しくなりました」
それまで一度も感じたことのない感覚で、精神状態が元に戻らずに引退の時期が来たのだと悟ったのだという。
「国別対抗戦の前には、練習も難しかったです。精神的に疲労すると身体も疲れるんです。自分はもう競技から身を引く時期が来た、と思いました」
「クリスはギブアップするような人じゃなかった」
怪我をしていた当のクリスではなく、キャシーの方が先に限界を感じたのだという。その後クリスは、村元哉中と新しいチームを結成した。
「膝の手術を4回受けていていた彼が、あそこまで続けられたのは驚きでした。でもクリスは、ギブアップするような人じゃなかった。いつもベストを尽くしていました。彼はスケートを愛していたので、滑りたかったのです」
キャシーはそう言って、2年前に心臓突然死で急逝した元パートナー、愛弟を偲んだ。
《続く》