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「クボはファウル覚悟で止めなければ」 残留争いで久保建英が大仕事…辛口のタクシー運転手もニコリ〈カメラマン現地取材〉
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/02/09 17:00
代表戦明けのリーグ戦、マジョルカで好プレーを見せた久保建英
決定機をどんどん作る好調ぶりだったからこその“不満”
久保と対面したカディス左SBのパチャ・エスピーノとは何度も対決のシーンが撮れました。その中で、ルイス・デガラレッタのロングフィードを見事にコントロールすると、エスピーノも半歩ずらしてシュートまで持ち込みましたが、わずかにポストをかすめて外れてしまいます。
この試合を撮影していて突出していたのが、久保だけでなくムリキでした。高さで単純にターゲットマンになれること、またボックス内外で体の強さを活かし2人ぐらいのマークなら競り勝てることで、久保にパスコースが生まれるなどのシーンが。コンビネーションを高めていければ、お互いメリットになりそうです。
前半の終盤にも久保は、相手を振り切るようなプレーを見せたり、シュートまで持っていきます。撮影者目線としても、今日の久保は序盤からかなりキレがあるなと感じた試合でしたが、それでも久保が欲しいタイミングでパスが回ってこないシーンもたくさんありました。
調子が良いだけに、久保としては不満を表すようなシーンもありましたが、ベテランのダニ・ロドリゲスがなだめます。
後半開始早々には、左サイドに回った久保が抜け出してムリキにパス。決定機を創出しました。
相手から感じた“ファウル覚悟で止めないと危ない”
続けて自陣からカウンターで抜け出した際には、ファウルで倒されてしまいました。この段階で、この日の久保に対しては“ファウルを覚悟して止めなければ危ない”というような意識がカディス側には生まれていたのかもしれません。
足首にスパイクが入っているのが写真からも見てとれますが、危険なファウルでした。セビージャがこのFKをゴール前へ放り込むと、アンヘル・ロドリゲスと相手GKが接触。VARの結果、PKを獲得しました。
GKのレデスマにカードが出されましたが、写真からはハロヤンのプッシングが原因のように見えます。
このPKをムリキがゴール。マジョルカでの初得点でチームを勝利に導きました。PKの前には、強面の元スペイン代表FWネグレドとジャッジについて言葉を交わし、またPKのキッカーになったムリキにも声をかけるなど、久保のコミュニケーション力の高さも見られました。
どのような言葉をかけていたのか、気になるところです。PK直後に、アンヘルは右目まぶたを腫らして、交代となりました。
カディスのCBビクトル・チュストはレアル・マドリーのBチームからレンタル加入中の選手ですが、ここでも久保が相手の出足を見越すように、ふわりとボールを浮かしてかわすと、ユニホームを掴んで久保を止めるしかありませんでした。