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「クボはファウル覚悟で止めなければ」 残留争いで久保建英が大仕事…辛口のタクシー運転手もニコリ〈カメラマン現地取材〉
posted2022/02/09 17:00
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
スペインを中心にヨーロッパ各国でフットボールの撮影をする日本人フォトグラファー中島大介氏。カタールW杯アジア最終予選1、2月シリーズを終え、カディス戦で好プレーを見せた久保建英の姿を撮ってもらいつつ、ピッチサイドからの所感を記してもらった。
残留争いの直接ライバル相手に研ぎ澄まされた感覚
2月5日、リーガ23節マジョルカvsカディス戦を撮影しました。残留争いで直接のライバルである相手に負けてしまうと、ホームで迎え撃つマジョルカとしては今季初の降格圏に落ちてしまう状況。チーム内のマネージメントだけでなく、サポーターにも協力を求めていました。
たくさんのファンにスタジアムに集結してもらうために、試合前のスタジアム脇では、巨大な鍋で作られたパエージャが無料で振るまわれました。ちなみにビールは1杯1ユーロ。たくさんのファンが集まりました。そのたくさんのファンの鼓舞の中、選手バスが入ってきました。
日本で行われたW杯アジア最終予選サウジアラビア戦の翌日、スペイン帰国直後だったにもかかわらず国王杯に緊急途中出場した久保でしたが、この大事な一戦でも先発出場と、チーム内でのプライオリティーの高さを感じさせます。
チームフラッグを持った子供たちや、バックスタンドに出された弾幕で盛り上げられた雰囲気の中、選手が入場してきました。
長期離脱していたCBのライジョの復帰や新加入選手の出場など、期待を持って始まった試合でしたが、前半8分、早々とカディスに先制点を奪われてしまいました。
この日も右サイドでの先発となった久保。失点後からやや内側に絞ってボールを要求する姿が見られました。サルバ・セビージャからの縦パスを2人のDFに挟まれながらも、半身の状態でぎりぎりまでボールに相手を食いつかせ、一気に縦に抜け出したシーンから、この試合の久保の感覚が研ぎ澄まされているのが感じられました。
撮影を通じて、相手の足がどこまで伸びてくるのかが数センチ単位で予測されているのではないか――というようなボールの持ち方が何度も見られました。
新たに加入したFWムリキとの関係に感じる可能性
マジョルカは失点こそ喫したものの、カディスが前線から激しくプレスに来なかったこともあり、ボランチのセビージャを中心にして、普段よりもボールをつなぎながらプレーしました。その中で新加入のCFのムリキが長身を生かしシュートまでもっていくシーンが何度か見られました。
日本代表に招集されていた久保とはあまり練習時間も取れていないと思いますが、コンビネーションの良さも見せていました。
そして20分、サイドに開いた久保にボールが入ると鋭いグラウンダーのクロスを送り込みます。一度は跳ね返されたものの、久保、ムリキが繋ぐとブライアン・オリバンが倒されてPK獲得。このPKをセビージャが落ち着いて同点にすると、ゴール裏サポーターもおおいに盛り上がりました。