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《日本選手団最年長》43歳で12年ぶり3度目五輪出場の石崎琴美、ロコ・ソラーレのリザーブにして要の“5人目”が担う重責とは?
posted2022/02/10 06:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PHOTO
北京五輪で12年ぶりにオリンピックの舞台を迎える選手がいる。今大会の日本選手団では最年長の43歳、カーリング女子日本代表「ロコ・ソラーレ」の石崎琴美である。
ポジションはフィフス。原則、試合には出場しない立場だが、重要な役割を担い、ロコ・ソラーレの強さを象徴している存在でもある。
長いキャリアはカーリング界でも突出している。最初にオリンピックに出たのは2002年ソルトレークシティ五輪。他チームでプレーしていたが代表の「シムソンズ」にフィフスとして参加し出場した。2度目は2010年バンクーバー五輪、チーム青森の一員としてリードを務めた。今回が3度目となる。
2013年、チーム青森をやめたあと、石崎は札幌市内の病院に勤務しながらチームに所属し、札幌リーグなどでプレーしていた。一方で、平昌五輪や世界選手権など大会中継の解説者として活躍していた。
石崎に、ロコ・ソラーレから加入の依頼があったのは2020年のこと。平昌五輪前も含め、一時的に何度かフィフスとしてロコ・ソラーレに参加したことはあった。だが、石崎は「最初は何度も断りました」と言う。
知られざるフィフスの重責
「(平昌五輪で)銅メダルを獲って、そんな強いチーム、できあがったチームに入ることに、すごく大きな不安もあるし、とてつもない大きな覚悟が必要でした」
しかも平昌五輪でフィフスだったのは本橋麻里だ。そのあとを受け継げるのか、とも考えただろう。フィフスの重要性を知り、本橋が果たしてきた重責を知れば、なおさらだった。
フィフスはリザーブと紹介されることもある。そのため、「控え選手」と捉える人も少なくない。試合に出ている4人の誰かが交代せざるを得ない事態になったときに代わりを務める、という点ではそうかもしれない。だが実際はその言葉にはとうてい収まらない役割を担う。