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「治療でも男性ホルモンは“ドーピング”になる…」性同一性障害の水球代表候補が東京五輪を諦めた理由《現在は歌舞伎町ホストに》 

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平田裕介

平田裕介Yusuke Hirata

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama/Getty Images

posted2022/02/07 11:01

「治療でも男性ホルモンは“ドーピング”になる…」性同一性障害の水球代表候補が東京五輪を諦めた理由《現在は歌舞伎町ホストに》<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/Getty Images

(左)歌舞伎町でホストとして活動している現在の成宮涼(右)女子水球日本代表として活躍していた当時の写真

女性との交際が同級生にバレて……

ーーその方との交際は順調でしたか?

成宮 それが、その子のことをブログに書いていたら、部活の仲間にバレちゃった(笑)。「このブログやってるのって、そうだよね?」って聞かれましたね。その瞬間に「うわ、高校生活終わった。また、いじめ始まるわ」と思ったんですけど、その子たちは「このブログ、他の子たちにバレたら騒がれるから消したほうがいいよ」と続けて「そういうことか」とホッとしました。

「いままでバイセクシャルとか出会ったことないからわからないけど、あんたはあんただから」みたいなこと言ってくれて。とりあえず、急いでブログは閉じました。付き合ってた子とは7カ月くらい続きましたね。先生も自分もびっくりするくらい急激に水球が上達して楽しくなってきちゃったのもあって、だんだんと会わなくなってしまいましたね。

ーーブログの件で理解してもらう以前は、恋愛対象が男性であると装っていたことはあったのでしょうか?

成宮 学校や家でも、そうしていることはありましたね。成蹊大学で練習することもあって、あっちの大学生や高校生の男子を「かっこいいね」「気になる」とか無理して言ってたことあります。まぁ、そういう話になったら「あんま恋愛とか興味ないな」とか「部活のほうが大事だから」なんてごまかしてましたね。

男子の目線が胸元とかスカートに向かってるのが気持ち悪かった

ーー「紹介してあげる」とかは。

成宮 ありましたよ。3年間も彼氏がいないわけだから、周りが心配するんですよ(笑)。それで「彼氏くらい作りなよ」って紹介してくれて。余計なお世話だけど申し訳ないから、その男子と会ってデートしてみるんですけど気持ち悪くなっちゃって。

 とにかく女子扱いされるのが我慢ならなかったし、目線が胸元とかスカートに向かってるのがあからさますぎるんですよ。やたらと触ってこようとして「うっわ、気持ち悪っ! 触んな!」って。だけど、そこで「あっ、もしかして自分って男なのかも」とも感じたんです。

ーー学校で「かっこいい」みたいに騒がれたり、想いを寄せられたことはなかったのですか?

成宮 中学でも高校でも、好きになってくれる子はいませんでしたね。ひょっとしたら、僕が気付いてないだけで、いたのかもしれませんけど。高校の時は「かっこいい」みたいなのはありましたね。バレンタインになるとチョコももらいましたけど、それはちょっと恋愛とかとは違いますしね。

東京女子体育大学に進学

ーー大学も水球の推薦で?

成宮 大学は国立にある東京女子体育大学で、高校の姉妹校になるんです。藤村女子高に入ったら、だいたいが東京女子体育大学に進むんですよ。「もちろん、大学でも水球やるでしょ?」という感じで進学を勧められて「そんなん、やるっしょ!」と、なんの迷いもなく進みました。

ーー大学の水球部は、高校時代以上にレベルの高いメンバーが集まってくるでしょうからモチベーションも相当に上がったのでは?

成宮 日本代表とか普通に集まってきましたね。あと、大人なのでセクシャルなことにも理解があったし、それこそ自分と同じタイプの人間も結構いたので。

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