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36歳ナダルは史上最多21勝「隣で毎日助けてくれる人たちのおかげ」…では、メドベージェフはなぜ観客を敵に回すのか?
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHiromasa Mano
posted2022/01/31 17:30
前人未到の偉業に挑んだナダルとメドベージェフ。勝ったのは、36歳の王者ナダルだった
ステファノス・チチパスとの準決勝では、観客をコントロールできなかった主審を「子猫ちゃん」という言葉で侮辱した。また、この試合では、チチパスが観客席の父親からルール違反であるコーチングを受けていると主張、警告をとらない主審に激高、「最悪だ」など激しい言葉をぶつけた。こうした態度がファンの反感を買ったのだ。
メドベージェフは準決勝での行為を「感情を抑える選手を尊敬するし、僕も克服するために努力してきた。それができれば勝利に近づく。だから、100%後悔している」と反省した。とはいえ、ナダルに片寄る応援の中で決勝を戦い、「大事な試合で僕に勝ってほしいと思う人は多くない」と嘆くなど、観客への不満は最後まで解消されなかったようだ。
20代の若手有力選手から噴出しがちな“負のエネルギー”
別の話だが、準々決勝でナダルに敗れたデニス・シャポバロフは遅延行為をめぐって主審に激しく抗議、「(実績のある)ナダルが優遇されている」と主張、これも物議を醸した。
すべてに模範的なナダル(ここにロジャー・フェデラーの名前を加えてもいいだろう)に対し、メドベージェフや、怒りにまかせてラケットを折ったシャポバロフは選手として未熟だとする見方が優勢だ。彼らもナダルに劣らぬ情熱で競技に取り組んでいる選手たちだ。20代の彼らは心身ともエネルギーに満ちている。これは一流選手に欠かせない資質だ。ただ、ときにそのマグマが噴火口ではない別の場所から噴出する。上位に頭を押さえ付けられている鬱憤もあるのか、また、メドベージェフにはファンへの不満や反骨心を力に換えようという思惑もあったのだろうか。
だが、負のエネルギーは何も生み出さない。荒ぶる若者たちには、みなぎるエネルギーを正しく生かしてほしい。もがきながらも、なんとかナダルやノバク・ジョコビッチを脅かす位置まで浮上してきたのだから。
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