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ロックンロールとしてのベースボールBACK NUMBER
「♪SHINJO」「♪ハリー」と繰り返し熱唱、福本豊お気に入りの一曲… くるりの『野球』とカープ愛サク裂な歌詞を分析する
text by
スージー鈴木Suzie Suzuki
photograph byChung Sung-Jun/Getty Images
posted2022/01/29 17:01
長年にわたって日本のロックシーンを支えている「くるり」。野球愛も非常に熱い(2011年撮影)
4番では岸田繁の「カープ愛」が本領発揮
<4番>
・「緒方」:緒方孝市
・「翼」:會澤翼
・「誠也」:鈴木誠也
・「石原」:石原慶幸
・「エルドレッド」:ブラッド・エルドレッド
・「松山」:松山竜平
・「長野」:長野久義(3回繰り返し)
短い間奏後の4番は突然の【カープ枠】。全体の中ではバランスを欠くが、カープファンとして知られる岸田繁氏の本領発揮というところ。ちなみに「くるりofficial」名義のnote(『近況と雑感』2021/4/30)で岸田氏は、エルドレッドと食事をした経験があることを明かしている。
<5番>
・「ワンちゃん」:王貞治
・「チョーさん」:長嶋茂雄
・「ノムさん」:野村克也(「ありがとう」と歌われる)
5番はもう【レジェンド枠】で決定だ。たけし・タモリ・さんまと並ぶ「BIG3」。この曲収録のアルバム『天才の愛』発売の前年に亡くなった野村克也に「ありがとう」と歌うのがいい。先のnoteの記事の中で岸田繁氏は、野村克也をポール・マッカートニーに例えていて面白い。
間奏で突然、絶叫される意外な選手の名前とは?
<間奏内の絶叫>
・「金村!」:金村義明
突然絶叫される「カネムラ!」。金村義明の動画チャンネルについて、岸田氏は、先のnoteの記事で「いわゆる『ええ加減な野球ファン』の『それでも野球好きやねんもん』て部分を心から愛でてくれます」と、高く評価している。一応タイトル付けしておけば【金村枠】。
<6番>
・「親分」:大沢啓二
・「番長」:清原和博
・「アニキ」:金本知憲
・「オマリー」:オマリー
・「ハリー」:張本勲(3回繰り返し)
ここはなかなかにシュールな面々。「強面(こわもて)枠」だと思ったが、オマリーの陽気な笑顔の残像が、その判断を躊躇(ちゅうちょ)させる。そこで【ニックネーム枠】はどうだろう。オマリー以外全員ニックネームで歌われているし、当のオマリーも、例の『オマリーの六甲おろし』(1994年)の浸透で、「オマリー」の4文字はもう記号化されている気がするからだ。
<7番>
・「江夏」:江夏豊
・「金田」:金田正一
・「兆治」:村田兆治
・「菅野」:菅野智之
・「球児」:藤川球児
・「上原」:上原浩治
・「ぺーさん」:北別府学(3回繰り返し)
ここは「名投手枠」ということだろうが、せっかくなのでもう少し深読みすると、西日本の高校卒(金田正一は中退)が多く、かつエリート臭の弱い個性派たちなので【たたき上げ投手枠】とすればどうか。中退、無名校、遅咲き、無頼派……。大学卒でも上原浩治は「雑草魂」だし、また、エリート感がある菅野智之も、巨人入団に浪人までした苦労人なのだから「たたき上げ」の末席に入ろう。