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桑田佳祐は「日本ロック界の長嶋茂雄」である… 名曲『栄光の男』から推察する、ミスターへの応援メッセージとは

posted2022/01/29 17:02

 
桑田佳祐は「日本ロック界の長嶋茂雄」である… 名曲『栄光の男』から推察する、ミスターへの応援メッセージとは<Number Web> photograph by Getty Images

日本ミュージックシーンのレジェンド、桑田佳祐。Number997号の表紙を飾ったことも

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スージー鈴木

スージー鈴木Suzie Suzuki

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野球にまつわる名曲を作ったミュージシャンは多い。そんな名アーティストについて野球を愛する音楽評論家の視点で記してもらった(全2回)

「ロック野球殿堂」を勝手に立ち上げようと思い立った。

 本物の日本野球殿堂の方では、漫画家・水島新司の逝去に関連して、彼が殿堂入り出来なかったことを嘆く声が上がった。このNumber Webでは、広尾晃氏が「半世紀以上にわたって野球漫画を描き続けた水島新司の貢献度は、2000安打、200勝を記録した大選手に匹敵すると思うだけに、痛恨ではある」と書いた。

 となると、本物の野球殿堂で、漫画家を超えて、音楽家が表彰されることなんて、先の先になりそうだ。ましてやロック系の殿堂入りなど、未来永劫あり得ないかも。だとしたら、「ロック野球殿堂」を勝手に立ち上げるしかない。

 というわけで、「ロック野球殿堂」入りが決定した音楽家を、この連載で、断続的に紹介していきたい。第1回表彰は「日本ロック界の長嶋茂雄」とでも評すべき、桑田佳祐。勝手に立ち上げた私が言うのも何だが、おめでとうございます。

「日本ロック史上の最重要人物」である桑田

 そもそも私は、桑田佳祐という人を、「日本ロック界の長嶋茂雄」を超えて「日本ロック史上の最重要人物」だと捉えている。

 辺見じゅん『大下弘 虹の生涯』(新潮文庫)によれば、「三原マジック」で知られた昭和の名将=三原脩は、こう語ったという。

《日本の野球の打撃人を五人あげるとすれば、
 川上、大下、中西、長嶋、王。
 三人に絞るとすれば、
 大下、中西、長嶋。
 そして、たった一人選ぶとすれば、
 大下弘。》

 この、いかにも三原脩的なけれん味たっぷりの言い回しを借用して、私はこう言いたい。

「日本の“ロック人”を5人あげるとすれば、かまやつひろし、吉田拓郎、矢沢永吉、山下達郎、桑田佳祐。3人に絞るとすれば、吉田拓郎、矢沢永吉、桑田佳祐。そして、たった1人選ぶとすれば――桑田佳祐」

 この意見には、異論反論が多くありそうだ。あくまで個人的意見なので大目に見てほしいのだが、一応は、日本ロック史に与えた「革命性」と「影響力」で選んだつもりである。

ロック、野球をエンタメのど真ん中に引きずり込んだ

 最後の1人が桑田佳祐となるのは、ロックビートへの日本語の乗せ方を確立した強烈な「革命性」と、「ロックをエンタメのど真ん中に引きずり込んだ」とでも言うべき莫大な「影響力」との総和から判断した。ゆえに「日本ロック史上の最重要人物」だと考えている。

 この「ロックをエンタメのど真ん中に引きずり込んだ」という点について、桑田佳祐は長嶋茂雄と響き合う。「プロ野球をエンタメのど真ん中に引きずり込んだ」最大の功労者が長嶋茂雄だということに、異を唱える向きは少ないだろう。

 では、桑田佳祐と長嶋茂雄がなぜ、ロック/プロ野球を「エンタメのど真ん中」に引きずり込めたのか。ここに本質的な2人の共通点――「明朗快活さ」がある。

【次ページ】 桑田佳祐が長嶋茂雄を歌った曲と言えば

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