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“個人的な理由で長期離脱”とは?…現地番記者が明かす八村塁のシャイな素顔「何があったかを話したがらないのも自然です」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2022/01/24 17:00
“個人的な理由”で、開幕から欠場を続けたワシントン・ウィザーズの八村塁が戦列に戻ってきた
塁の一件に関してはそうはならなかったことは、塁とチーム、塁と代理人の今後の関係にも良好に働くのではないでしょうか。ウィザーズが塁のことを絶えずサポートし続けたことに、私は感心させられました。フロントの人間は選手の信頼を裏切りたくなかったのでしょうし、それをしなかったことで他の選手たちの信頼も得られるのではないかと思います。
塁はここでの休養が自身のバスケットボールキャリアの中で必要だと感じ、これだけ休んだ後でも、自分には居場所があることを知りました。誰が自身をサポートしてくれるか、誰が信頼できるかを知ることもできたでしょう。
もちろんこれだけ長期間休んだことの影響は大きいはずです。今後も良いプレーをし続けなければいけませんが、すべての後で、ここでの休養が彼のキャリアにプラスに働くことは十分にあり得ると思っています。
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21日、注目を集めた渡邊雄太が属するトロント・ラプターズとの対戦で、八村は今季最長の19分50秒をプレーし、11得点、今季最多の8リバウンド。渡邊とマッチアップする機会もあり、会場を沸かせた。試合前後には日本代表でのチームメイトでもある盟友と笑顔で言葉を交わし、元気な姿を印象付けている。会見でも「少しずつリズムは戻ってきている。観客が応援してくれて、そのなかでプレーできるっていうことはすごい楽しい」と答えていた。
こうして戦列に戻った八村は今後、どういった形でウィザーズに貢献していくのか。ウェス・アンセルド Jr.新HCに率いられたチームは、24日のゲームを終えた時点で23勝24敗。まだプレーオフも十分に狙える位置にいる。
フォワード陣にはカイル・クーズマ、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、デニ・アブディヤ、ダビス・ベルターンス、コーリー・キスパートらが揃い、層が厚くなった。昨季までの八村は全試合でスタメン出場してきたが、復帰後はプレータイムを争わなければならない立場。しばらくはベンチからの登場が続きそうな八村は、何を目標にプレーすべきか、ウォーレス記者に後半戦を展望してもらった。
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コンディション◎…課題は「控えの仕事にどう適応するか」
復帰後の塁は良いプレーをしていると思いますよ。長期休養明けなので、ゴール周辺でのタッチなどまだ物足りない部分もありますが、それは予想通り。動き自体は力強く、その気になれば48分フルにプレーできそうなコンディションに見えます。
今後はチーム内でどんな役割を果たせるのかを見極めていくことになるのでしょう。今のウィザーズには塁と同じフォワードの選手がたくさんいます。これまでNBAでは常にスターターで、途中出場の経験はなかったので、控えの仕事にどう適応していくかも見所ですね。
シーズンはすでに半ばを迎え、ウィザーズの中でも各選手の役割はある程度、定まっています。アンセルドHCをはじめとする首脳陣が塁を誰と一緒に、どのくらいの時間、プレーさせるのかの判断が焦点になります。いずれにしても、塁はこのチームでもう長くスタメンの一角を務めてきた選手なのだから、途中出場でも重要な役割を担う可能性は高いと考えています。