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スターダム新王者・朱里が語った“亡き母への感謝”とチャンピオンの覚悟「プロレスも究めたと言っていいのかな」《戴冠記念グラビア》
 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2022/01/21 17:03

スターダム新王者・朱里が語った“亡き母への感謝”とチャンピオンの覚悟「プロレスも究めたと言っていいのかな」《戴冠記念グラビア》<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

林下詩美を下し、第14代ワールド・オブ・スターダムチャンピオンとなった朱里

強敵・林下を倒す秘策は、新技「朱世界」

 6月の大田区総合体育館大会で林下に挑戦した際は30分時間切れのあと延長再試合を行ない、それでも両者KOで決着がつかなかった。時間無制限となった両国での対決も、36分33秒のロングマッチ。そこまでやって、やっと決着がついた。

 どちらも勝ちたい。と同時に互いの力を認め合ってもいる。攻防は自然と激しくなった。朱里は場外でパワーボムを食らい、さらにエプロンからリング下に投げ落とされた。

 どうやったら勝てるのか、本当に決着などつくのか。見ていてそう思わされるタフマッチのフィニッシュになったのは、朱里の新技「朱世界」だった。得意技の一つ「流炎」を発展させたもので、相手を肩車の状態に担ぎ上げてから一気に落とす。打倒・林下の秘策は、6月のドロー以降ずっと考えてきたものだった。

「それが両国大会の前になって、ようやく“これだ”というものになったんです」

“レスラー人生のすべて”を出してのタイトル獲得

 それだけではなかった。この試合、朱里はキャリアの集大成とも言える闘いを見せている。

 胴絞めの状態から相手を回転させるダイヤル固めはデビューした『ハッスル』以来の師匠であるTAJIRIが使っていたのを見て「大きい相手に有効だな」と感じた。コーナーから雪崩式で投げながらのアームロックは、現WWEのKUSHIDAから。KUSHIDAもハッスルで指導を受けた恩人だ。鋭い蹴りやマウントポジションからの打撃は言わずもがな。朱里のキャリアだからこそ説得力が増す。

 林下の動きを止めた足4の字固めは、昨年10月9日の大阪城ホール大会から使っている。「10.9」は新日本プロレスvs.UWFインターナショナルの全面対抗戦が行なわれた、プロレス史上に残る日付だ(1995年)。同じ「10.9」のビッグマッチで、朱里は武藤敬司が高田延彦をギブアップさせた技を再現したのである。それが単発のアイディアで終わらず、両国での大一番でも活きた。これまでのレスラー人生、スターダムでやってきたこと、すべてを出してのタイトル獲得だった。

「全部レベルアップして、その上で出し切らないと詩美との決着はつけられないなと思ってました。そして最後は執念。でも、自分の力だけで勝てたわけじゃなかったと思います。たくさんの人から力をもらいました」

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