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“女性名”を変えてまでアポ取り…マイナーリーグ初の女性監督バルコベック(34)が乗り越えてきた高すぎる“障壁”とは
posted2022/01/20 06:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
ヤンキース傘下のマイナーリーグに属する1Aタンパ・ターポンズの監督に、女性としてメジャー傘下球団で初めてレイチェル・バルコベック氏(34)が就任することが決まった。正式発表後、会見を行ったバルコベック氏は「私はすべての女性のため、娘を持つ父親のため、目に見える観念になりたかった。だから、ここまで来たかった」と、歴史的な第一歩を踏み出す直前の心境を語った。
バルコベック氏はニューメキシコ大などでソフトボール部の捕手として活躍し、卒業後はルイジアナ州立大で運動学の修士号を取得。その後、オランダに渡り、人間運動学を学ぶなど、スポーツに関する知識を身につけ、2012年にはカージナルスのマイナーでストレングス・コンディショニングコーチを務めた。その後、アストロズや、最新のデータ分析を基にトレーニングを指導するスポーツジム「ドライブラインベースボール」を経て、19年からヤンキースのマイナーの打撃コーチに就任。選手育成シニアディレクターを経て、今季から監督として指導することになった。
男性社会での様々な障壁
その一方で、男性社会として発展してきたプロ野球界で指導者になるまでには、数多くの障壁を乗り越えてきた。各チームのスタッフ募集の際、履歴書を送付しても女性を雇用しないチームが多く、返答すらしないチームも数多くあった。その後、履歴書の名前を女性名の「レイチェル」ではなく、男性に多い「レイ」に変更して送付してまで、アポイントを取ることに腐心したという。
今回、バルコベック氏の起用を決めたヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMは、「彼女は自分のゴールに到達するためであれば、地球の果てまで行くだろう。これは誰も拒めるものではない」と、同氏の並々ならぬ情熱について語った。さらに「彼女は決断力があり、強く、忍耐力がある」と、指導者としての資質を高く評価した。