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「五輪銀メダリストのプライドを捨てた」 RIZINで太田忍(27)が元K-1王者に“いきなり顔面前蹴り”を食らっても勝てた理由

posted2021/09/28 17:04

 
「五輪銀メダリストのプライドを捨てた」 RIZINで太田忍(27)が元K-1王者に“いきなり顔面前蹴り”を食らっても勝てた理由<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

忍者レスラーとも評される太田忍(27)。MMAの舞台で五輪メダリストとしての強さを発揮した

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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RIZIN FF Susumu Nagao

 決戦10日ほど前、太田忍の母校である日本体育大レスリング部に行くと、「今度の試合で太田は勝てるんですか?」と聞かれた。ときを同じくして知人のキックボクサーからはSNSを通じて「久保優太のMMAデビュー戦はどうなんですか?」という質問を受けた。

 関心の的は『RIZIN.30』(9月19日・さいたまスーパーアリーナ)で組まれた太田忍(パラエストラ柏)VS久保優太(PURGE TOKYO/BRAVE)。知っての通り太田はリオデジャネイロ・オリンピック男子グレコローマンスタイルの銀メダリストで、久保は元K-1ウェルター級チャンピオンだ。

 いずれも肩書は申し分ないが、MMAのキャリアとなると太田は1戦、久保はデビュー戦とともにグリーンボーイなのだから絶妙のマッチメークではないか。

 スタンドの打撃では久保が圧倒的に有利だが、組んでしまえば太田のフィールドとなる。しかしながらグラウンドの展開になれば、お互い極め技の成熟度はまだまだ。一歩先の展開を予想しようとすると読めなくなる分、議論の的になるような一戦だった。

「軌道が見えにくい」顔面前蹴りで脳が揺れた

 案の定、第1ラウンド開始早々、観客席からは大きなどよめきが起こった。久保がいきなり顔面前蹴りを思い切り食らわせ、太田をフラつかせたのだ。2カ月ほど前から太田が所属することになったパラエストラ柏の代表でセコンドに就いた鶴屋浩にとっても、予想外の一撃だった。

「久保選手のYouTubeを見ていたらファーストコンタクトで何かやると予告していたので、飛びヒザ蹴りか三日月蹴りを予想していた。(太田)忍には『いきなり何かやってくると思うけど、気にしないで』と伝えていましたけど、まさか顔面前蹴りで来るとは……」

 この一撃で脳を揺らした太田は「軌道が見えにくかったので、MMAファイターではないような前蹴りだった」と振り返る。

「ちょっと面食らった部分はあった。あそこは一本とられた感がある」

【次ページ】 「指一本でも触れていたら、倒せる自信が」

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太田忍
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