Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
大谷翔平が質問「卵のたんぱく質と牛乳のカゼインの違いは何ですか?」 自主トレに帯同した管理栄養士が語る“大谷の食哲学”
posted2022/01/15 17:02
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
meiji
大谷翔平(エンゼルス)の栄養サポートを担当する株式会社「明治」の管理栄養士・大前恵さんが、大谷の“素顔”を語った記事を特別にWeb公開します。<初出:Sports Graphic Number 1035号(2021年9月9日発売)、肩書きなどはすべて当時>
「卵のたんぱく質と牛乳のカゼインの違いは何ですか?」――。大谷選手からはこんな質問を受けることがあります。
トップアスリートは総じて栄養面への意識が高いですが、大谷選手は「これは何ですか?」という段階の先を行っている。自分で様々なことを調べてさらに、「情報の精査をしてください」というやりとりが多いです。
例えばチョコレートを差し入れた時には、カカオポリフェノールやカフェインがどのくらい含まれ、どんな影響があるのかに興味を持っていましたし、日本ハム時代には乳酸菌やプロバイオティクスについて質問されたこともありました。私だけの意見を返すわけにはいかないので、基本的には研究所や専門家にきちんと聞きにいったことを返答します。
エンゼルス移籍決定後、自主トレに帯同して“作り置き”
エンゼルス移籍決定後の2018年2月には、自主トレに合わせて渡米して、最初の1週間サポートしました。
大谷選手は初めて1人で生活するということだったので、食材をそろえたり、調理器具を扱うことなどは初体験。一番難しいのは、その時の大谷選手のカラダづくりに必要なたんぱく質を、余分な脂質を抑えてどう揃えるかということだったので、牛ヒレ肉や鶏ムネ肉、魚介など高たんぱく質・低脂質の色々な種類のおかずを100gずつ小分けに作り置きして冷凍してきました。
私たちが帰国してからも、それを3つずつなど必要量組み合わせて食べる、という方法をとりました。