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「なぜ“トヨタの車作り”で出来ることが、バスケで出来ないのか?」外国人“鬼コーチが語る日本人を指導する原点
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2022/01/06 11:12
NBAウォリアーズのスタイルをヒントに、日本バスケ初の五輪メダル獲得に貢献したトム・ホーバス
ふたりはいま、新しいことにチャレンジしている。
トムさんは男子日本代表のヘッドコーチへと転身し、11月にはW杯2023のアジア地区予選ウィンドウ1で初めての指揮を執った。日本は中国と対戦し、63-79、73-106と連敗スタートとなった。
トム 日本の女子は世界ランキングのトップ10の常連でしたが、男子は30位台。女子と同じように金メダルを目標に掲げることには無理があります。私の仕事は、選手たちとの関係性を築くことから始めています。11月の中国戦の前には、合宿でいい練習ができていました。ところが、試合ではその力を発揮できなかった。なぜか? メンタルかもしれないし、他の原因かもしれない。次の合宿ではもっといい内容の練習をして、選手たちに自信を持たせたい。
私のことを「女子の指導しかしてこなかったじゃないか?」という人もいますが、私にとってバスケットボールのチームのコーチングは、選手とコミュニケーションを図り、最適な戦術を練習によって落とし込む。男女の差はないんです。私はこのチャレンジを楽しんでいますし、自信をもって仕事に臨んでいます。
エディーさんは2年後にW杯フランス大会が控えているが、イングランドは11月には、トンガ、オーストラリア、そして南アフリカにも際どく1点差で勝ち、秋のテストマッチを全勝で終えた。
エディー W杯の頂点に立つために、アタックではより積極的な姿勢、マインドセットを植えつけていきます。そして組織の活性化のためにも、リーダーシップグループの再編は必要でしょうね。頂点を目指すからには、組織のダイナミズムが欠かせませんから。それにしても、トムが男子の代表を率いるのが本当に楽しみになりました。
トム それはうれしいな。今後もいろいろとコーチングについて語り合いましょう。
エディー 日本の選手は打てば響く。それが日本でコーチングすることの喜びです。 《#1、#2から読む》