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「打てる訳ないよな、と自分でも…」筒香嘉智に聞く“150km以上の速球を打てない”をどう乗り越えたのか?《パイレーツで劇的復活》 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2021/12/31 11:10

「打てる訳ないよな、と自分でも…」筒香嘉智に聞く“150km以上の速球を打てない”をどう乗り越えたのか?《パイレーツで劇的復活》<Number Web> photograph by Getty Images

8月にパイレーツに移籍して、8本のホームランを放った筒香。なぜ復活できたのか、本人に聞いた

打てなかったのは150km以上の速球だけではない

 だからハッキリ言えば打てなかったのは150km以上の速球だけではない。150kmに満たない148kmのボールも、ミスショットすることが多々あった。だからこそ「150km以上の速球を打てない」というレッテル、そんな周囲の声に反論する気も湧いてこなかったというのが正直な気持ちだった。

 ただ、もう1つ、筒香の頭には全く正反対の考えもあったという。

「自分の形で打てていないんだから、逆に150km以上(が打てない)とかいうデータも関係ないと思いました。自分のスイングができて、その上で結果を見ないと、本当の意味でのデータは出ないなと思ったんですね。もちろん自分のスイングができていないというのは、周りの方には伝わらないことなので、そういう風に言われることは仕方ない。取材でもアメリカ人の記者から、よくそのことを聞かれたりしましたけど、逆にそう結論付けたら、途中からは何とも思わなくなりました」

 そしてその迷い込んだラビリンスから脱出する糸口は、やはりドジャースへの移籍だった。

コーチが付きっきりで筒香の“自分探し”は続いた

 移籍初日。デーゲーム終了後に筒香が球場に着くと、デーブ・ロバーツ監督とコーチが待ち構えていて、ケージの横にはビデオが2つ用意されていた。

「これがレイズでのバッティング、こっちがベイスターズのときのもの、と2つの映像がパンって出ていて、その映像を比較してここが違う、あそこが違う、と。それで『キミは日本で良くてこっちにきたんだから。そこを直していこう』というのが始まりました」

 試合前はもちろん試合後も、そして時には試合中にも「試合はいいから」とコーチが付きっきりで筒香の“自分探し”は続いた。結果的にはドジャースでその成果を示すことはできずにマイナー落ちとなったが、その頃には筒香自身の中では確かな手応えを得ていたのだという。

 3Aオクラホマシティに移籍すると7月末から8月に大爆発。8月には10試合に出場して31打数12安打の2本塁打、11打点で打率3割8分7厘をマーク。その数字を引っ提げてのパイレーツ移籍、メジャー再昇格を果たしたのである。

【次ページ】 「もういいやって思うことは一度もなかったですね」

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