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ヤクルト高橋奎二24歳と板野友美30歳 「AKBをやめたい」14歳でアイドルになった板野の“転機”…22歳で卒業し、高橋と結婚するまで
posted2021/12/29 11:05
text by
近藤正高Masataka Kondo
photograph by
Sankei Shimbun
プロ野球選手の夫人には意外と元アイドルが多い。さかのぼれば、90年代に結婚したヤクルトの笘篠賢治と松本典子、広島の緒方孝市と中條かな子などが思い出される。
ここ10年のあいだにも、2012年に結婚した田中将大(楽天)と元カントリー娘。の里田まいを筆頭に、2017年には杉浦稔大(当時ヤクルト、現・日本ハム)と元モーニング娘。で元テレビ東京アナウンサーの紺野あさ美、野上亮磨(当時西武、今年巨人を引退)とやはり元モーニング娘。の石川梨華、2019年には源田壮亮(西武)と元乃木坂46の衛藤美彩、そして今年に入ってヤクルトの高橋奎二と元AKB48の板野友美と、野球選手と元アイドルの夫婦があいついで生まれている。
近年のケースではいずれの夫人もグループ出身という点が時代を感じさせる。グループ所属のアイドルとプロ野球選手には、チームワークが重視されるとともに、個人間ではレギュラーやポジションをめぐって熾烈な競争が繰り広げられることなど、共通点も見出せる。それゆえ互いに親近感を抱き、交際へと発展することも多いのかもしれない。
14歳でAKBに…観客は7人だけだった
上記の選手のうち、高橋奎二は6年目の今シーズン、6月に二軍から昇格すると投手のローテーションの一角を担い、14試合に登板して4勝1敗、防御率2.87の成績を残した。オリックスとの日本シリーズでは第2戦でプロ初完封を果たし、球団20年ぶりの日本一にも貢献している。板野と入籍したのはシーズン前の今年1月で、10月には第一子も産まれ、公私ともに充実した1年となった。
高橋は2016年に龍谷大平安高校からドラフト3位でヤクルトに入団したが、それから一軍で初登板するまで2年間は腰や肩のケガに苦しんだ。妻の板野友美もまた、2005年に14歳でAKB48に1期生として入った頃が一番苦しかったという。
小学5年生のときからエイベックス・アーティストアカデミーでダンスを習っていた彼女は、EXILEのバックダンサーとしてNHKの紅白歌合戦に出演経験も持つ。それだけに自信があったが、AKB48に入るとダンスの先生から、ハードなダンスはアイドルには必要ないと否定されてしまう。ポジションも最初はセンターだったのが、すぐに端に移動させられた。
東京・秋葉原のAKB48劇場での公演初日は観客が7人という厳しいスタートだったが、板野にはそれよりも自分に対する危機感が強かった。挽回してセンターに戻りたいけど、どうすればいいかわからない。同期のメンバーに相談したくても、当初はお互い仲間意識よりライバル意識のほうが強くてそれもできず、一人葛藤する日々が続く(『an・an』2013年10月23日号)。