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「引退は全然考えない」女子格闘技の第一人者・浜崎朱加39歳はなぜ衰えないのか? 大晦日に“超新星”と対戦も「一本かKOで」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byRIZIN FF
posted2021/12/29 17:02
3月に行われた浅倉カンナとのタイトルマッチはスプリット判定の接戦となったが、しっかりとベルトを防衛した浜崎朱加。今年の大晦日も絶対女王の貫禄を見せつけるか
「試合を見たことがあるというレベルなんですけど、極め(関節技や絞め技)はあるというイメージですね。グラップリングマッチでも極めていると思うので、自分と同じタイプなのかなと。実際に肌を合わせたことがないのでわからないけど、寝技になったら競り合うかも。楽しみですね」
そのたたずまいから伊澤は得体のしれないふてぶてしさを漂わせるが、そんなニューカマーに対して浜崎は「しっかりと壁になりたい。実力差を見せるわけではないけど、一本かKOで決めたい」と宣言する。
「世界で戦っていける選手にバトンを渡したい」
浜崎は海外からも高い評価を受けているMMAファイターだ。全米No.1のMMAサイト『SHERDOG』の今年11月に発表された女子世界アトム級ランキングでは、堂々1位に名を連ねる。2009年にプロデビューして以来、日本人選手相手には未だ一度も負けたことがないのだから、本人の口から発せられた「壁になる」という言葉には説得力がある。
コロナ禍の中で外国人選手を思うように招聘できなくなり、浜崎はモチベーションの維持が難しくなったことを否定しない。
「正直、RIZINの男子選手だったら、同じ階級にライバルと呼べる選手が何人かいるじゃないですか。でも、私にはここ数年そういう対象がいない中で闘い続けなければならなかった。やっぱり相手が強ければ強い方がモチベーションは上がる。そういった意味で(僅差の判定ながら、浜崎に最後に土をつけた)ハム・ソヒ選手がいなくなってからは下がっているのかなと思います」
ハム・ソヒがシンガポールを拠点に活動する『ONE Championship』に転出すると、浜崎は彼女を追いかけ、この団体に行こうと思ったことすらある。では、いまはどうやって気持ちを奮い立たせているのだろうか。
「MMAは好きでやっていること。応援してくれる人やファンのために、いいパフォーマンスをしたいという思いがあるからです。あとはちょっと大げさかもしれないけど、まだ国内の若手で、確実に世界で闘っていける選手はいないと思う。そういう若手が出てきたら、私は喜んでバトンを渡しますよ」
では、伊澤にバトンを渡す可能性は?
「私に勝てば、全然問題ないでしょう。強い選手だし、その可能性はあると思いますよ。だからこそ格の違いを見せつけた方が盛り上がる。その方が伊澤選手もさらに強くなることができるんじゃないですかね」