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残り310m、絶体絶命の有馬記念で見せた執念…テイエムオペラオーの「年間グランドスラム」は“日本競馬史に残る偉業”だった 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph by©Keiji Ishikawa

posted2021/12/25 17:04

残り310m、絶体絶命の有馬記念で見せた執念…テイエムオペラオーの「年間グランドスラム」は“日本競馬史に残る偉業”だった<Number Web> photograph by ©Keiji Ishikawa

2000年の有馬記念を制し、年間8戦8勝で古馬中長距離GⅠ完全制覇という偉業を成し遂げたテイエムオペラオー。その絶対的な強さから「覇王」と称された

20世紀の終わりに覚醒した「覇王」

 古馬になった00年、オペラオーは、とてつもないパフォーマンスを発揮しはじめる。

 年明け初戦となった2月の京都記念と3月の阪神大賞典を連勝。4月30日の第121回天皇賞・春では単勝1.7倍の圧倒的1番人気に支持された。道中は縦長になった馬群の中団につけ、2周目の3コーナー過ぎから楽な手応えで進出。先行勢に並びかけるようにして直線に向き、2着のラスカルスズカに3/4馬身差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。

 ラスト300mほどで内のナリタトップロードをかわすときと、抜け出して気を抜きそうになったときに鞍上の和田竜二の右ステッキが入ったが、着差以上の完勝だった。

 次走、6月25日の第41回宝塚記念も、中団から勝負どころで進出し、直線で力強く伸びて圧倒的支持に応えた。2着のメイショウドトウとは首差だったが、着実に差をひろげながらゴールする、危なげない勝利だった。

 秋初戦の京都大賞典でも順当に勝利をおさめ、10月29日の第122回天皇賞・秋に駒を進めた。単勝2.4倍の1番人気に支持されたオペラオーは、すっと好位につけ、抜群の手応えのまま直線へ。スムーズに前があき、ラスト400m地点で、先頭を1馬身ほどの射程にとらえた。ラスト200m地点で和田が右鞭を入れると鋭く反応し、2着を2馬身半突き放してフィニッシュ。87年のニッポーテイオー以来、13年ぶりの1番人気による勝利をおさめた。これで6連勝。

 つづく11月26日の第20回ジャパンカップ。ステイゴールドが逃げる意外な展開になったここで、圧倒的1番人気に支持されたオペラオーは中団に待機。4コーナーでは周囲を他馬に囲まれていたが、直線入口で馬群がバラけ、進路ができた。先に抜け出しをはかるメイショウドトウに外から並びかけ、外から迫る欧州の強豪ファンタスティックライトを加えた3頭の激しい叩き合いを制した。この勝利により、JRA重賞最多連勝記録を「7」に伸ばした。

【次ページ】 「進路がない…!」絶体絶命の有馬記念

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