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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「泣き虫で甘えん坊だった、あの宗が」今季大ブレイク・オリックス宗佑磨の“原風景”…恩師「信じられない。でも、夢あるよね」
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph bySankei Shimbun
posted2021/12/27 17:06
2015年1月、オリックスからドラフト2位で指名された宗佑磨が入寮する様子。左手首にはガーナのお守りを持っている
証言3)愛嬌たっぷりの愛されキャラ。恩師「一方的なメールにも…」
宗は「愛されキャラ」でもあったそうだ。その根拠を水谷監督がエピソードを交えて教えてくれた。
「〇〇さんに会いました、△△さんに良くしていただいてます、と節目節目に電話をかけて報告してくれるのですが、自分のことはいつも最後。先日も、共通の知人と食事しましたという電話の最後に『そういえば、僕、ゴールデングラブ賞をいただきました』ですからね。爆笑ですよ。自分のことは後回し。人のこと優先なのが、あの子なんです」
佐野教諭は「マイペースでのほほんとしているように見えますが、こちらからの一方的なメールにも、ちゃんと返信してくれます。活躍した日にメールを送ると、何十通とメールが届いているだろうに、たいてい1時間以内には返事がきました。これからはそうもいかないと思いますが、人柄が変わってないところがうれしかったですね」。
あれは入団2年目のオフだったか。OB会主催の野球教室を取材したとき、宗が子どもたちに楽天・オコエ瑠偉に間違えられた一幕があった。しかし本人は気にすることなく、自分のサインを書いてあげていた。「リーグ優勝後に大阪を歩いていても、誰にも気づかれませんでしたよ」と指導者たちに言っているそうだ。抜群のセンスを持ちながらも自分の実力に自惚れず、見栄も張らず、常に謙虚であり、周りへの感謝を忘れない。高校時代に教えられたことを今も忘れていない。
「いい子はプロ野球で活躍できない」と言われた時代は、そろそろ終わりを迎えるのではないか。宗のルーツを探ると、そんな気さえしてくる。(つづく)
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