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「シティの小林薫」ことB・シウバが“最優秀主演賞”級の活躍 プレミアトップの勝率男が連覇達成のキーマンに
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/12/14 17:01
昨季までは脇役的な印象が強かったベルナルド・シウバだが、今季は目覚ましい活躍を見せ、シティの主役へと躍り出ている
12月の2試合で披露した3ゴールなどは、本職のCFが決めていたとしても「お見事」と称えられそうなフィニッシュだった。
12月1日の第14節アストンビラ戦(2-1)のゴールは、右サイドからの緩やかなクロスをペナルティエリアの縁から左足ボレーでゴール左上隅に放り込んでいる。
試合前は、グリーリッシュのビラ・パーク帰還が注目された。試合中はスティーブン・ジェラード新体制下で2連勝中だったホームチームの応援に、ファンとして広く知られるウィリアム王子が駆けつけている事実も話題となった。
そんな試合の実際の主役は、華麗なゴールでグアルディオラにプレミア通算150勝目をプレゼントし、シティの今季戴冠説に説得力を加えたB・シウバだった。
145試合に出場し112勝と勝率は驚異の77%!
その3日後の第15節ワトフォード戦(3-1)では、チームの全得点に絡みマン・オブ・ザ・マッチとしての活躍を見せた。開始早々の4分、相手エリア付近の右インサイドからB・シウバが迅速かつ正確にフォデンに振ったボールが、最後はラヒーム・スターリングの頭に届いて先制点となった。続く2点は自らゴール。31分にはビルドアップに絡みつつボックス内へ足を進め、ギュンドガンが打ったシュートのこぼれ球を、角度のないゴール右側から右足で中央に蹴り込んだ。
さらに63分には、左足で左上隅へ。一旦、ボックス内から外に出てパスをもらい、切り込みながら楽々と相手左SBダニー・ローズをかわして狙いを定めた。チームの攻撃にも、個人のフィニッシュにも、感嘆の声を上げたくなる瞬間だった。
ワトフォード戦は、B・シウバにとってプレミア通算145試合目だった。試合当日の夜に放送されたBBCテレビのハイライト番組『マッチ・オブ・ザ・デー』では、100試合以上出場選手の勝率ランキングが紹介されたが、司会のガリー・リネカーが苦笑いしながら指摘したように、トップ4いずれもシティの選手だった。
そのトップにいたのが、計112勝で勝率77%のB・シウバだ。昨季後半の脇役としても、今季前半の主役としても秀逸な「シティの小林薫」は、2021年の最優秀主演賞と助演賞のダブル受賞に相応しい。