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「シティの小林薫」ことB・シウバが“最優秀主演賞”級の活躍 プレミアトップの勝率男が連覇達成のキーマンに 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2021/12/14 17:01

「シティの小林薫」ことB・シウバが“最優秀主演賞”級の活躍 プレミアトップの勝率男が連覇達成のキーマンに<Number Web> photograph by Getty Images

昨季までは脇役的な印象が強かったベルナルド・シウバだが、今季は目覚ましい活躍を見せ、シティの主役へと躍り出ている

 今季の開幕戦もベンチだった。しかし、第2節のノリッチ戦(5-0)以降は、指揮官が手放したがらなかった理由を自らのプレーで代弁した。インサイドハーフのポジションで、頭の回転を含めたスピードを披露しつつ、それでいて沈着冷静。攻守両面でハードワークを貫く、グアルディオラのチームの特長を象徴する主軸として存在感を示した。

 3センターの右で先発した第6節のチェルシー戦(1-0)と、逆サイドに回った第7節のリバプール戦(2-2)という強豪同士の上位対決2連戦も、10点満点で8点はつけられるチーム随一の出来を示した。

味方が「ほしい」と願う類いのパスを出せる

 チームの機能面では偽9番役で動きの自由を与えられているフィル・フォデンの活躍も特筆すべきものがあるが、その背景のB・シウバの存在も見逃せない。その気になれば、自らドリブル突破もできるが、秀逸のサポート役はチームメイトが「いてほしい」と願う位置にポジションを取り、味方が「ほしい」と願う類いのパスを出せる。

 そんなB・シウバの輝きは、フォデンが2得点1アシストを記録した10月後半の第9節ブライトン戦(4-1)でも同様だった。

 イルカイ・ギュンドガンのタップインによるシティの先制点は、B・シウバがボックス内でボールを受け、相手に囲まれる直前にノーマークのフォデンに繋いでシュートを呼び、そのこぼれ球をB・シウバがオーバーヘッド気味にギュンドアンに届けて生まれた。

 フォデンがカウンターを締めくくった2点目でも、走りながらロドリのパスを受けて、クロスでアシストしたグリーリッシュへスルーパス。同じくフォデンのチーム3点目は、インターセプトから自身がカウンターの起点となった。

 今季のブライトンは15試合終了時点で9位と好調で、対戦当時は4位だった。リードを広げられても諦めず反撃する相手に対し、グアルディオラが最初に行ったベンチワークはフェルナンジーニョの投入だった。しかし、このときベンチに下がったのは5カ月前とは違い、B・シウバではなくギュンドガンだった。

グアルディオラにプレミア通算150勝目をプレゼント

 11月以降は、ネットを揺らして自身がスポットライトを浴びる頻度も増えた。リーグ戦14試合出場7得点は、15節を終えた時点でチーム最多。シティのファンは、ボール支配と攻勢が定番の自軍勝利を確信すると、ユナイテッドから敵地で大量6点を奪った2011年のマンチェスター・ダービーにちなんだ1曲で、歌詞に「10点は取れた」とあるチャントを歌うことが多い。

 ケインの移籍が実現していたら、実際に2桁得点で勝つこともあるのではと思えるほど、チャンスメイクに事欠かない。しかし、実際のところ純然たるセンターフォワード不在のチームが、リーグ戦15試合で32得点を記録できている大きな理由として、身長173cmと小柄なMFの存在がある。

【次ページ】 145試合に出場し112勝と勝率は驚異の77%!

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