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プロ野球PRESSBACK NUMBER
落合博満「上級生から殴られるのが嫌だった」東洋大中退からロッテ・ドラ3への6年間…落合は18歳~25歳のプロ入団まで何をしていた?
posted2021/12/09 11:04
text by
近藤正高Masataka Kondo
photograph by
KYODO
いま、出版界にちょっとした落合博満ブームが起きている。今年だけでも本人の著書である『戦士の食卓』(岩波書店)をはじめ、詩人・作家のねじめ正一の『落合博満論』(集英社新書)、そして鈴木忠平によるノンフィクション『嫌われた監督――落合博満は中日をどう変えたのか』(文藝春秋)が刊行されている。いま、名古屋の書店をのぞくと、たいていこの3冊が並んで平積みになっている。
落合の自著は、国立国会図書館の蔵書検索で調べたかぎりでは、現在までに16冊を数える。その最初の本が、ロッテオリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ)在籍中の1986年4月に講談社から刊行された『なんと言われようとオレ流さ』だ。
本書刊行の前年(1985年)、落合は3年ぶり2度目の三冠王を獲得した。この年記録した169安打、52本塁打、打率.367はいずれも彼の生涯最高記録である。同シーズンにはまた、打点も146を挙げ、野村克也の持つパ・リーグ記録を塗り替えた。
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まさに全盛期とあって、本書からは落合の自信が随所にうかがえる。第1章のタイトルからしていきなり「“毎年三冠王”宣言」である。そこで彼は、2度目の三冠王を取れた理由は色々あるが、やはり「カミさんに認めてもらおう」というのが一番だったと明かした上、《そして、事実二度取ったのだから、次は三度を狙い、三度取ったときには四度を狙う》と宣言した。
その宣言どおり落合は、本書刊行とともに開幕した1986年シーズンに2年連続、3度目の三冠王を達成した。筆者の手元にある本書は同シーズン終了後の11月発行の5刷だが、帯には「やった!!史上初の3度目の三冠王!!」の文字が躍る。
「プロたる者、何事も自分で考えろ」
当時の落合の自信は、第3章で「オレの打撃の秘密を公開しよう」と惜しげもなく自らの打撃術を開陳していることからもうかがえる。その説明は、連続写真やイラストを交えつつ、きわめて具体的で、現役選手がここまで手の内を明かしてもいいのかと思うほどだ。