濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
試合後に特大おにぎりを頬張る仙台発「最強」タッグとは? 里村明衣子も絶賛の“チーム200キロ”橋本千紘と優宇が目指す「本物のプロレス」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/12/07 17:00
センダイガールズ11.23後楽園大会メインにて躍動した“チーム200キロ”の橋本千紘(右)と優宇
「チーム200キロ」は特大のおにぎりを頬張って…
そういう状況で迎えたのが11月23日の後楽園ホール大会であり28日の仙台サンプラザホール、旗揚げ15周年の記念大会だった。
11.23後楽園のメインはチーム200キロとアンドラス宮城&響のタッグ王座戦。チャンピオンの宮城は元仙女で、フリーとして経験を積んで古巣に乗り込んできた。退団のいきさつなどから、橋本は宮城のことをはっきり「嫌い」と言う。
橋本のパートナーである優宇は東京女子プロレスでデビューし、現在はイギリスの団体プロレスリングEVEに籍を置きながら日本で活躍している。柔道出身で、橋本とは大型の実力派タッグとして結果を残してきた。
ただ、このチームの魅力は実力だけでなく明るさにもある。入場時には客席の前を練り歩きながらマッスルポーズを何度も決め、「いただきまーす!」のかけ声と共に合体技。試合後には選手たちも栽培に携わる「農姫米」で作った特大のおにぎりを頬張る。
宮城と響の反則攻撃に苦しむ場面もあったが、やはり地力がとてつもない。タックル一発で相手を吹っ飛ばし、観客をどよめかせる。体重を浴びせるボディプレスも、それだけで必殺技級のインパクト。最後は2人同時にコーナーに登り、優宇がセントーン、橋本がサンセットフリップの連続爆撃で3カウントを奪ってみせた。
いや本当に“爆撃”という言葉が似合うフィニッシュだった。この迫力が出せるのがチーム200キロ。冒頭の里村の言葉にも頷くしかない。
「仙女には本物のプロレスがある」
客席を見渡して「前回よりも前進できた」と試合後の橋本。「このベルトを日本中、世界中連れ回す」と野望を語ると、優宇も「チーム200キロはどこに行っても通用する最強のタッグだと思ってます」と続いた。
公式コメントを終えた橋本に、あらためてチャンピオンとしての“踏ん張り”について聞いた。
「今日は勝って気持ちよく終われましたし(客席の)景色も少しは変わってきました。でもまだまだ。目標はすべての大会を満員にすることなので。コロナ禍が終わった時に、どれだけお客さんが戻ってきてくれるか。もっと勝負をかけたいです。
前回の後楽園から痛感してきたのは、プロレスだけやっていればいいわけじゃないということ。SNS、ファンのみなさんとの距離。あらためて考えるきっかけになりました。仙女には本物のプロレスがある。強い人間しか上がれないリング。そこに自信を持ちながら、チーム200キロの明るさももっと伝えられたら」