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試合後に特大おにぎりを頬張る仙台発「最強」タッグとは? 里村明衣子も絶賛の“チーム200キロ”橋本千紘と優宇が目指す「本物のプロレス」
posted2021/12/07 17:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
“女子プロレス界の横綱”里村明衣子が太鼓判を押した。
11月23日、彼女はツイッターにこう書いている。
「間違いなく日本の女子プロレスで最強」
「誇れる女子プロレス!!」
この日、里村が設立したセンダイガールズプロレスリングが後楽園ホール大会を開催。現在、WWE傘下のNXT UKのチャンピオンでありコーチも務める彼女は、ネット中継で弟子たちの闘いを見守った。メインイベントでは橋本千紘と優宇の「チーム200キロ」がタッグタイトルを奪取。その勝ちっぷりを見てのツイートだった。
橋本の葛藤…“里村のいない仙女をどう引っ張るか”
センダイガールズ(通称・仙女)にとって、今年は激変の年であり“踏ん張る”年でもあった。里村が社長のままWWEと契約し、下半期からはイギリスに移住。自ら現場で陣頭指揮を執らなくとも運営は問題ないとの判断があってのことだった。とはいえリング上に関しては大きな戦力ダウン。当然、集客力にも影響が出てくる。
現シングル王者にしてエースである橋本千紘にとっては、相当に苦しい状況だった。その実力は誰もが認めるところ。ただ“橋本時代”をアピールすることがなかなかできない。
7月の後楽園では、大激闘を制してシングル王座を防衛したにもかかわらず涙を見せた。観客動員に納得がいかなかったのだ。この時は里村がいないだけでなく、団体旗揚げとともにデビューした生え抜きのDASH・チサコも負傷欠場していたのだが、だからこそ「私が引っ張らなきゃいけないのに」と悔しくなった。
「強いだけでは見てもらえない」
橋本にとっては切実な思いだった。日本大学時代はレスリング世界大学選手権で銅メダル。もともと入りたかったプロレスの世界(中学時代に仙女の入門テストを受けている)でも“本格派”として活躍し続けている。必殺技はジャーマンスープレックス。この技を得意とした名選手にちなんで「オブライト」と命名した。
デビュー1年で里村に勝ちシングル王座を奪取すると、ここまで計5回の戴冠を果たす。文句のつけようがないキャリア。だがそんな強い橋本が、思わぬところで“弱さ”を見せた。
里村のいない仙女をどう引っ張るか。里村にかわって自分が“顔”になるにはどうすればいいか。考え続ける下半期だった。