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「空の彼方に最後の軌跡!コントレイル!」が話題に…フジテレビ倉田大誠アナに聞く“競馬と春高バレーの実況はここが難しい”
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph byYuki Suenaga
posted2021/12/02 11:07
「13歳、真夏の大冒険」が流行語になったフジテレビ倉田大誠アナウンサー。競馬や春高バレーなどの実況を務める
倉田 担当する試合の両チームに取材するのですが、下北沢成徳の場合ですと夕方16時頃に学校に行って、19時くらいまで練習を見て。見ながら監督の話を聞いて、それが終わったらスタメンの選手の話を聞いて。選手の話もいっぱい聞きたいけど、セッターにずっと話を聞いているとその間、練習でボールを上げる人がいなくなっちゃうわけですよね。気を遣いながら取材を進めています。
――質問の内容を絞って聞く、と。
倉田 “取材の取材”をしっかりしていきますね。「最近どう?」なんて質問をしても漠然と返って来ちゃうだけなので、そんな時間は絶対使わないです。「去年はエースポジションを背負っていたけど最後はベンチにいたよね、あのときどうだった?」「最後フロントに戻ってこられなかったけどどうだった?」とか、できる限り具体的に。そうやって取材して、会社に戻ってICレコーダーから文字に起こして資料としてまとめていくわけです。
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――そういった取材は、ディレクターと一緒に行くんですか。
倉田 いえ、基本的にひとりですね。自分で監督に電話してこの時間に行きますねといって、上履き持って体育館に行って、「こんにちは!」って。スポーツ実況アナはみんなそんな感じだと思います。高校サッカーや高校バスケも。
「杉本清さんや三宅正治さんはスゴい」
――そうやって実況資料を作って、身体にしみこませて、本番で言葉がぽんと出てくる……。
倉田 スポーツ実況でよく先輩から言われたのが「自分で作った資料の半分も出たら、それはダメな実況だよ」と。最低限資料は用意する、でもスポーツは目の前で起きていることがすべてだから、資料に引っ張られてやるのはよくない。「一回資料を捨てなさい」と言うんです。といっても、すべて覚えられるわけではないので現場にも資料は持って行くのですが。
――スポーツ実況って、まさに一瞬しか視聴者には残らないですが、選手と同じようにアナウンサーの方も本番までに準備をしているというわけですね。倉田さんの場合、平日は「めざまし8」にも出演しながら……。