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「日本はもう少し手強いと思っていた」ラグビー日本代表の欧州遠征《1勝2敗》を対戦国はどう見た? “弟分”ポルトガルとは再戦も
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byGetty Images
posted2021/11/26 17:02
欧州での3戦を終えて今年度の活動を終了したラグビー日本代表。課題と収穫を得て、次のフェーズに進む
実はこの時、ラッセルはホッグをからかっていただけで、当のホッグはそんな意図とは知らなかったようだ。ラッセルはこの時間帯でのペナルティーをどうするかキャプテンと話し合うフリをして、時計が止まらないよう時間を費やしていたというのだ。
チームメイトをひっかけてでも状況を優位にコントロールしようとしたラッセルは、試合後のロッカールームでグレガー・タウンゼント監督にもこのやりとりの意図を説明。外から見えたように、試合中にキャプテンの意見に逆らっていたのではない、と安心させた。
相手の虚を衝く大胆なプレースタイルで知られるラッセルだが、その遊び心と創造性は本物だ。前回対戦した19年W杯では司令塔にストレスを与えることができたが、今回は一本取られた形だ。
ちなみに、大事な局面でチームメイトに遊ばれてしまったキャプテンのホッグは、この試合でスコットランド代表として史上最高となる25トライ目を記録。その名を歴史に残すメモリアルなゲームとなった。
23年W杯で再び勇敢な姿を
近隣にライバル国が多く、試合数が確保できる欧州に比べて新型コロナウイルスの中断の大きな被害を受けた日本ラグビー。試合勘や経験値が少ない状態で、強豪国のアウェーで戦ったという点を顧みれば、今回の戦績は仕方がない結果と言える。大事なのはこの課題をどう活かすか、である。
4年に一度、普段は負ける相手を倒す。そんなチームは、世界の誰もが応援したくなるチームなのではないだろうか。2023年には再び勇敢な姿を見せてくれるに違いない――目が肥えた現地ラグビーファンにそんな印象を残し、桜の戦士たちはヨーロッパを後にした。